2015年03月06日

機龍警察 月村了衛

機龍警察 月村了衛 ハヤカワJA文庫
テロが一般化する近未来。市街地での戦闘で強化アーマーを用いた接近戦が多様化するようになり、テロリストも違法に生産されたパーツ、つまり密造アーマーを用いた。一般的には機甲兵装と呼ばれる人型ロボット機器を用いられた悲惨な事件を契機に警視庁は特捜部隊を立ち上げる。そこは機龍と呼ばれる最先端機甲兵装があった・・・

魅力的な設定、説得力のある背景構築、そして魅力的な人物群を惜しげも無く畳み掛けてくる。さらに、次作につながる伏線も堂々と張ってくる。この自信は素晴らしい。ガンダム世代のラノベで育った甘いSFファンには、ちょっと厳しいかも。さらに従来の警察小説にあった組織のしがらみもスパイスの様にきかせてある。

たまらず次作も購入。上下二巻のボリュームも嬉しいがSF大賞受賞作らしい。良いシリーズを発見したと思う。
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2014年11月26日

重力への挑戦 ハル・クレメント

重力への挑戦 ハル・クレメント 創元SF文庫
惑星メスクリンは、地球の700倍の巨大な重力が支配する世界である。その世界の極地にすむメスクリン人は、扁平な体と何本もの足を持ち強力なハサミを使う甲殻類に似た知的生命体である。
極地に遭難して不時着した地球人製観測ロケットのデータを回収るべく、依頼されたメスクリン人は困難を物ともせず、徐々に目標へ迫る。その意図は何なのか。

古典的名作のSFと評価が高い一作。楕円形で赤道付近が遠心力で重力が弱いという設定の下で、「投げる」ということや「飛ぶ」ということを理解できない文明を淡々と書き分けるのは、凄いとしか言いようがない。異なる文明、知的生命体との邂逅を描きつつ、科学とは何か、文化とは文明とは何か、その一面を描く本書は22世紀まで残るSFだろう。現にすでに発表依頼60年以上。ちっとも古くならないのは、さすがである。
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2014年09月01日

魚舟・獣舟 上田 早夕里

魚舟・獣舟 上田早夕里 光文社文庫
上田早夕里は初めてである。だが印象は鮮烈で、SFというジャンルに縛られない広がりがある独特な物語の構築に惚れた。
収録作は下記の6作品である。
・魚舟・獣舟
・くさびらの道
・真朱の街
・饗応
・ブルーグラス
・小鳥の墓」(中編)

SFなのか、ファンタジーなのか。分類はあまり意味が無い。そいうカテゴリ分けなどどうでも良いのだ。その世界は、読者を引き入れ、離しはしない。あらたな物語を紡ぐ者を得たという感触は数年ぶりか。期待大。
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2014年07月30日

第二段階レンズマン―レンズマン・シリーズ<3>  E.E.スミス

第二段階レンズマン―レンズマン・シリーズ<3>  E.E.スミス 創元推理文庫
おなじみシリーズ第三弾。銀河パトロールの戦力を集中し、ボスコーンの本拠地を撃滅したキニスン。しかし、勝利の喜びもつかのま、敵は超空間チューブを通って地球に大攻撃を掛けてくる。
再び敵の追及にかかったキニスンは、奇妙な女性支配惑星を発見するが・・・。

大団円の三部完結編。

女性だけの(と見える)星の話から始まり、恋人クリスのレンズマン就任を経て宿敵ボスコーンの真のボスを追い詰め仕留めるまでの話。最後に結婚式の話がくっついているのがご愛嬌ではある。今から80年近い昔に書かれたレンズマンシリーズだが、三作目となるこの本もアイデアに満ちている。ご都合主義も辻褄が合わない箇所もあるかと思うが、それはそれ。スペースオペラの古典的名作として、新訳を祝して、まずは読了としたい。
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2014年07月23日

グレー・レンズマン レンズマン・シリーズ〈2〉E.E.スミス

グレー・レンズマン レンズマン・シリーズ〈2〉E.E.スミス 創元推理文庫

シリーズ2作目。

前作で壊滅したのは銀河系のボスコニアだった。壊滅寸前、通信ビームがはるかかなたに発信される。その先は他のの銀河、彼らの本拠地は銀河系の隣の第二銀河系にあるらしい。独立レンズマン、キニスンはグレー・レンズマンとして宿敵を叩く!

なんだか筋はあるようでない。単に敵を最終的に叩き潰すだけなんだが、それまでのエピソードが荒唐無稽。余計な装飾は一切なく、理論的にはありそうでなさそうな、でもそれらしい理論武装された最終兵器が登場したりするのは、ご愛嬌。なんせ1930年代の作品。時代背景を考えると空恐ろしい空想力である。
posted by 灯台守 at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | SF