2018年06月19日

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上・下 ピーター トライアス

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上・下 ピーター トライアス (ハヤカワ文庫SF)

第二次世界大戦に日本が勝っていたらどうなったか・・・というお話。いくつか、この設定の話はあるが、歴史上のイベント・事象を綿密に把握した上で書かれているのでリアリティはある。

途中の話は、かなグロい描写もあるので、誰にでも進められるものではないし、日本人の描写もかなりエグい。ここまでの天皇崇拝が実施されたかどうかは、わからないと思うが、外から見ればそういう形にみえたのだろう。
ずっと引っかかっていた小骨のようなモノが最後のエピソードで分かるという締めくくりは見事だと思う。残念ながら、人に進めるポイントはそこだけなのが残念。
posted by 灯台守 at 16:22| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2018年06月16日

都市と都市 チャイナ・ミエヴィル

都市と都市 チャイナ・ミエヴィル ハヤカワSF文庫

読み終わって、主人公は「都市」かもしれないと思ったくらい、架空の都市「ベジェル」と「ウル・コーマ」の雑踏が、路地が、行き交う人々が見えるよな気がした。

欧州において、特殊な都市国家である「ベジェル」と「ウル・コーマ」。同一の場所にあり、お互いの領土がモザイク状に絡み合う2つの都市国家では、お互いを「見えて」いながら「見てはいけない」という文化が面々と継承されてきた不思議な場所だった。そんな「ベジェル」で一人の若い女子大生の遺体が発見される。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、二つの国の謎に迫っていく。

たぶん、この設定が無ければ、ただの警察小説である。警察小説としては、やや上くらいのレベルだが、その情景描写は摩訶不思議な世界が展開される。2010年代と思われる状況の中、ある事柄に対しては第二次世界大戦前後の暗い雰囲気が漂う。

秘密警察的な組織も見え隠れしたり、背後でうごめくモノがありそうだったり、最後まで物語は結末が見えない。まあ、エンディングは賛否両論あるだろうけど、私は気に入っている。

ストーリーだけではなく、この世界観を堪能する小説だろう。くしくも同時にヒューゴー賞を受賞したのが「ねじまき少女」という事が、読後に判明した時は運命を感じた。こういう事もあるんだよねぇ。
posted by 灯台守 at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2018年06月07日

ねじまき少女 パオロ・バチガルピ

ねじまき少女 パオロ・バチガルピ ハヤカワSF文庫
上下巻のうち上巻は、ほぼ世界設定に費やしている。環境が崩壊したあとのタイが舞台。熱気と混沌の世界観が素晴らしい。交互に登場するキャラクタが見事に立ち上がってくる前半は後半への期待感を盛り上げてくれる。
前半最後は、重要キャラクターの戦いでクローズされ、見事に後半へ。

前半の最後から急激に展開が急になる。ねじまき少女・エミコは北にあるというねじまきの村に想いを馳せるが・・・

遺伝子組み換えの嵐の中で政治的な対立と人々の葛藤が交錯するし、キャラクターは個々に生きる戦いを繰り広げる。下巻の中盤から終盤は息もつかせぬ展開が畳みかける。謎は残るしヒッカカリの残る終わり方だった。ちょっと期待外れっぽいが、全編に展開される崩壊しつつあるが、たくましく生き続ける世界観は素晴らしい。それだけで読む価値あり。キャラクタは魅力的で個々の人物単位に物語が立ち上がってくる。特にカニヤの苦悩が引き立っていて好感が持てた。物語後のカニヤの活躍を祈る。
posted by 灯台守 at 18:03| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2018年05月31日

リライト 法条遥

リライト 法条遥 ハヤカワJA文庫

実は四部作らしい。その最初の1巻目。
1992年7月。美雪は、未来からやってきたという保彦にであう。タイムトラベラーである彼との一夏の初恋は旧校舎崩壊という事故でクライマックスを迎えた。彼女は彼を救うために十年後に飛びそして戻ってくる。
それから十年後。彼女は中学生時代の自分を迎えるべく準備をするのだが・・・

タイムトラベルものの、佳作だと思う。読み進めるうちに違和感を感じながら、それでも読み進める。すっかり著者の思う壺にはまっていくのがわかるが、それでももうやめられないアイデアは抜群。やや説明的になった終盤は仕方ないか。でも十分読ませてくれるのは良い。続きを読むかどうかは一考。
posted by 灯台守 at 05:34| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2018年05月22日

人類補完機構 コードウィナー・スミス 全三冊

人類補完機構 コードウィナー・スミス
ハヤカワSF文庫での全三冊を再読した。もちろんノーストリリア読書会がきっかけである。
未訳文も含めて完訳となったのは嬉しい限り。

『スキャナーに生きがいはない──人類補完機構全短篇1』伊藤典夫、浅倉久志訳
 序文(ジョン・J. ピアス)
 編集者による序文
 夢幻世界へ
 第81Q戦争(改稿版)
 マーク・エルフ
 昼下がりの女王
 スキャナーに生きがいはない
 星の海に魂の帆をかけた女
 人びとが降った日
 青をこころに、一、二と数えよ
 大佐は無の極から帰った
 鼠と竜のゲーム
 燃える脳
 ガスタブルの惑星より
 アナクロンに独り
 スズダル中佐の犯罪と栄光
 黄金の船が──おお! おお! おお!
『アルファ・ラルファ大通り──人類補完機構全短篇2』伊藤典夫、浅倉久志訳
 クラウンタウンの死婦人
 老いた大地の底で
 酔いどれ船
 ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち
 アルファ・ラルファ大通り
 帰らぬク・メルのバラッド
 シェイヨルのいう名の星
『三惑星の探求──人類補完機構全短篇3』伊藤典夫、酒井昭伸訳
 宝石の惑星
 嵐の惑星
 砂の惑星
 三人、約束の星へ
 太陽なき海に沈む
 第81Q戦争(オリジナル版)
 西洋科学はすばらしい
 ナンシー
 達磨大師の横笛
 アンガーヘルム
posted by 灯台守 at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | SF