2018年05月22日

人類補完機構 コードウィナー・スミス 全三冊

人類補完機構 コードウィナー・スミス
ハヤカワSF文庫での全三冊を再読した。もちろんノーストリリア読書会がきっかけである。
未訳文も含めて完訳となったのは嬉しい限り。

『スキャナーに生きがいはない──人類補完機構全短篇1』伊藤典夫、浅倉久志訳
 序文(ジョン・J. ピアス)
 編集者による序文
 夢幻世界へ
 第81Q戦争(改稿版)
 マーク・エルフ
 昼下がりの女王
 スキャナーに生きがいはない
 星の海に魂の帆をかけた女
 人びとが降った日
 青をこころに、一、二と数えよ
 大佐は無の極から帰った
 鼠と竜のゲーム
 燃える脳
 ガスタブルの惑星より
 アナクロンに独り
 スズダル中佐の犯罪と栄光
 黄金の船が──おお! おお! おお!
『アルファ・ラルファ大通り──人類補完機構全短篇2』伊藤典夫、浅倉久志訳
 クラウンタウンの死婦人
 老いた大地の底で
 酔いどれ船
 ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち
 アルファ・ラルファ大通り
 帰らぬク・メルのバラッド
 シェイヨルのいう名の星
『三惑星の探求──人類補完機構全短篇3』伊藤典夫、酒井昭伸訳
 宝石の惑星
 嵐の惑星
 砂の惑星
 三人、約束の星へ
 太陽なき海に沈む
 第81Q戦争(オリジナル版)
 西洋科学はすばらしい
 ナンシー
 達磨大師の横笛
 アンガーヘルム
posted by 灯台守 at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2018年05月13日

ノーストリリア コードウェイナー・スミス

ノーストリリア コードウェイナー・スミス ハヤカワ文庫SF

スミスの唯一の長編小説である「ノーストリリア」を久方ぶりに再読した。二十年は経過していないけど、十年は経過している。新たな発見はあっただろうか。

主人公はロッド・マクバン。彼はノーストリリア人としてはサベれないしキトれない。不適合者である。3回の再生/成長を試みたが他の人たちとテレパシーで交流できなかった。しかし、聞き取れる時の彼の能力はすさまじいことは秘密だった。九死に一生を得た彼は、次に迫る危機回避のため、なんと地球を買ってしまう・・・

人類補完機構のシリーズでは唯一の長編であり、オールキャスト登場的な側面もある。典型的な少年の成長譚ともいえるが、魅力的な挿話の数々が何とも言えない感覚を呼び覚ます。

特に、シリーズ最強のヒロイン、ク・メルが登場することが一層の魅力を掻き立てる。そして最終的なしめくくりも、いかにも人類補完機構的なエンディングが待ち構えている、決して100%のハッピーエンドは無いのだろう・・・
posted by 灯台守 at 19:34| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2018年04月26日

犬は勘定に入れません ―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 コニー・ウィリス

犬は勘定に入れません ―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 コニー・ウィリス 早川書房

思いっきり安かったので、文庫ではなく単行本で購入した。もちろんAmazon中古本ですが、状態も良く、帯付きでお買い得感があった。

タイムマシンが発明された21世紀。オックスフォードの史学科の学生、ネッド・ヘンリーは1888年へ行きコヴェントリー大聖堂にある主教の鳥株(ビショップズ・スタンプ)と呼ばれるヴィクトリア朝の花瓶を調べることになる。しかし、過去から持ち込めないはずの猫の謎や、到達した地点でのドタバタ騒ぎで、時空の矛盾を発生させないための奮闘が始まる・・・。

第二次世界大戦中の空襲から始まったかと思うと、ヴィクトリア朝のテームズ川のボート旅に話は移って、ヴィクトリア朝時代の中産階級の生活描写が続く。あちこちにユーモアたっぷりな描写が続き、コミカルでウィットにとんだ文章はページをめくる手も進む。しかし、ネッドは寝不足に襲われ、歴史上の矛盾点は解消しようとすればするほど、話は複雑になっていく。

最大の焦点は、ミステリファンなら、まずは推測が付くかな・・・という感じ。でも、その周辺に貼られた伏線は見事としか言いようが無い。最終100ページの展開はもう止まらない。あっと思うところに伏線が張ってあり、単純な話と思っていた裏側には想像していないモノがあって素晴らしい。

タイムトラベルものの定番と思いきや、思った以上のバリエーションに発展するストーリーは、さすが多数の賞に輝く作品といえるだろう。

posted by 灯台守 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2018年03月18日

冷たい方程式 トム・ゴドウィン 他

冷たい方程式 トム・ゴドウィン 他 ハヤカワSF文庫
SF読書会で課題本として選抜したけど、うっかり新旧2さつあることを知らなかった。
しかも、アンソロジーの内容が違う・・・

まあ、新旧二冊読めて良いかと。

冷たい方程式(2011年10月)ハヤカワ文庫SF1832 ISBN 978-4-15-011832-7
徘徊許可証:ロバート・シェクリイ
ランデブー:ジョン・クリストファー
ふるさと遠く:ウォルター・S・テヴィス
信念:アイザック・アシモフ
冷たい方程式:トム・ゴドウィン
みにくい妹:ジャン・ストラザー
オッディとイド:アルフレッド・ベスター
危険! 幼児逃亡中:C・L・コットレル
ハウ=2:クリフォード・D・シマック

以上、新版

冷たい方程式―SFマガジン・ベスト1 (1980年2月) ハヤカワ文庫SF380 ISBN 4-15-010380-1
接触汚染:キャサリン・マクレイン
大いなる祖先:F.L.ウォーレス
過去へ来た男:ポール・アンダースン
祈り:アルフレッド・ベスター
操作規則:ロバート・シェクリイ
冷たい方程式:トム・ゴドウィン
信念:アイザック・アシモフ

以上、旧版
posted by 灯台守 at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

航路 上・下 コニー・ウィリス

航路 上・下 コニー・ウィリス ハヤカワSF文庫

読書会仲間の紹介です。かなりの長さですが、上巻のコミカルさ加減に油断していると、下巻で足を掬われる。上巻のテンポからすると、倍速以上の後半の畳みかける疾走感はハンパない。

マーシー総合病院で、臨死体験者の聞き取り調査を行なっている心理学者のジョアンナが主人公。その病院は、経営者の意向で、臨死体験の研究を進めているが、なんとも問題なのは臨死体験に宗教を持ち込もうとするマンドレイク。彼は、臨死体験者に誘導的ともとらえられる質問を繰り返し、ジョアンナの邪魔をしていく。そんな中、彼女は、神経内科医のリチャードから新規プロジェクトへの協力を求められる。NDE(臨死体験)を人為的に発生させ、その時の脳の活動を詳細に記録しようというのだ・・・

一歩間違えばキワモノの話になりそうな所を、最新科学的な雰囲気をまといつつ、読者をその気にさせてくれる。そして、主人公のジョアンナ、研究のタッグを組むリチャードのキャラは立っていてイメージしやすい。ある意味、邪魔ばかりするマンドレイクもユニークだし、心房細動で何度も臨死体験しているメイジーちゃんときたら、拍手物のキャラクターである。前半の臨死体験の描写は、それだけでワクワクするし、魅力的な謎解きもプラスされる。

そして、驚愕の2部ラスト。それから怒涛の一気読みとなる。気が付かないうちに、伏線も貼ってあり、見事に回収されているようだが、一読では気が付かない点も多数だろう。

いやはや、上下合わせて1300ページを超える本作、なかなかお勧めできない長さだが、それなりの魅力のある一作である。これだからSF読みはやめられない。
posted by 灯台守 at 15:38| Comment(0) | TrackBack(0) | SF