2017年09月16日

旅のラゴス 筒井康隆

旅のラゴス 筒井康隆 1986年徳間書店、徳間文庫を経て現在は新潮文庫

架空の異世界、もしくは未来(過去?)の地球かもしれない天体での短編連作。ラゴスの放浪の旅に私たちは誘われ彼の一生を体験する。冒頭から、がっつりつかまれる。転送のシーンはなんとも言えない。つかみはOKな感じで始まる。科学的というよりファンタジックなお話を紡ぎつつ文明批判と人生の在り方を押し付けない形で語られる。
目次は、以下の通り

集団転移 冒頭・テレポテーション
解放された男 閉じ込められた男と永遠の乙女、デーデ
顔 顔を描く。顔とは何か。
壁抜け芸人 物質透過。通り抜け
たまご道 竜の徘徊と異生物描写、そして奴隷狩り
銀鉱 奴隷と鉱脈採掘。
着地点 文化の遺産
王国への道 過去の文化の再発見と二人の女性、王国化。
赤い蝶 再び、デーデの里へ
顎 再び、奴隷化
奴隷商人 奴隷になりながら故郷へ。そして開放。
氷の女王 故郷の文明化、そしてデーデへのあこがれ。

これと言って、盛り上がりがあるわけでもなく、ドラマチックな展開があるわけでもないが、「人の一生は旅」という感覚がさりげなくポンと提示された感覚の本である。
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2015年06月09日

イリーガル・エイリアン ロバート・J. ソウヤー

イリーガル・エイリアン ロバート・J. ソウヤー  ハヤカワSF文庫
なかなか珍しい設定のSFである。ファーストコンタクト+法廷ものである。

突然それは発生した。エイリアンとのファースト・コンタクトである。地球からもっとも近い恒星アルファケンタウリからやってきたトソク族はまさにエイリアンだった。彼らは巧みに言語を理解して地球人を理解していく。素晴らしい出会いだったが、不運はやってくる。トソク族の居留地で地球人が殺害されたのだ。誰が殺害したのか、何故、殺害されたのか。謎は深まるが、容疑者で逮捕されたのはトソク族だった。そして12人の陪審員が選抜され、前代未聞の裁判が開始された・・・

ペリー・メイスンを始めとする法廷ものと変わらず進んでいくが謎の焦点である「犯人は誰?」という点は外せない。そして「何故殺されたのか」という事も同時進行する。SFモノのミステリは無いこともないが、この作品も着眼点のすばらしさと伏線の回収の見事さで見事なエンディングを迎える。

ミステリ/法廷ものの見事さもあるが、SFのファーストコンタクトものとしても秀作といえる一冊。
posted by 灯台守 at 05:56| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2015年04月28日

虎よ、虎よ! アルフレッド・ベスター

虎よ、虎よ! アルフレッド・ベスター ハヤカワSF文庫

戦後のSF興隆期の名作の一つ。テレポテーション分野のお約束のお話。

“ジョウント”と呼ばれるテレポーテイション技術の発見と開発により、地球を含む太陽系の人類の生活は一変した。一瞬のうちに、行きたい場所へ行くことが出来る世界。裏返せば、略奪や逃走が瞬時に出来るということでもある。この一大社会変革時代である25世紀、一隻の宇宙船が襲われ一人の宇宙飛行士を残して消え去った。彼は、廃船直前の宇宙船で辛くも生還するが、奇妙な惑星で原住民に捕まる。顔に異様な虎の刺青をされた野生の男ガリヴァー・フォイルの、無限の時空をまたにかけた絢爛たる〈ヴォーガ〉復讐の物語が、ここに始まる・・・

今のSF作品では当たり前のテレポーテーションの記念的な作品で、SFファンなら押さえておくべき作品と言える。不屈の精神で、苦境から脱出する主人公であるガリヴァー・フォイルは、冒頭は荒々しい。後半になるにつれ、思索と戦略が加えられ、恋愛模様も描かれる。ミステリ的な要素もあり、遭難した〈ヴォーガ〉の積み荷が最終的な物語のシメに登場となる。

ガリヴァー・フォイルの復讐劇もドキドキのストーリーだが、彼の精神的な変遷も魅力的である。彼を取り巻く女性との関連性と描き方も本作の魅力の一つといえる。

古い作品ではあるが、骨太のストーリー展開と主人公の精神の変遷を味あわせてくれる名作といえる。
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2015年03月18日

機龍警察 自爆条項 <下> 月村了衛

機龍警察 自爆条項 <下> 月村了衛 ハヤカワJA文庫

IRFのリーダー キリアン・クインの目的は何か。フォンコーポレーションの秘書のクワンが言った第三の目的とは。

緊迫しつつ、最後は機龍の縦横無尽の活躍が描かれる。単なる活躍ではなく、それまでの伏線が生きる描写が素晴らしい。なかでもライザの妹が失語症で・・・という伏線は二重三重に使われる。首都高速のバトルや都市の下水道の逃走劇など、リアリティのある描写が続く。

ライザの過去の話も、なかなか。これだけで単行本一冊分になる。過去と現在を行き来するのはシンドイが、そのシンドサを感じさせない筆力には感心した。

うん、続きの購入は決定!
posted by 灯台守 at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2015年03月16日

機龍警察 自爆条項 <上> 月村了衛

機龍警察 自爆条項 <上> 月村了衛 ハヤカワ文庫

期待のシリーズ、二作目。
イギリスの外交官の来日に合わせてテロリストの動きが活発化した。密輸嫌疑の臨検でいきなりの発砲と犯人の自殺。どうも装甲機兵を密輸していたらしい。その裏には、アイルランド独立紛争があった。その独立戦争のテロリスト集団IRFは、そのイギリス外交官を日本で葬ろうとしていた・・・

その独立紛争を展開するIRFからの離脱者であるライザ・ラードナー彼女の過去と現在を描きつつ、特捜部の捜査を平行して描く。

緊迫したまま、下巻へ続く。
posted by 灯台守 at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | SF