2017年07月20日

なみき ビブリオバトル・スト−リー 〜本と4人の深呼吸〜 赤羽じゅんこ、松本聡美、おおぎやなぎちか、森川成美

なみき ビブリオバトル・スト−リー 〜本と4人の深呼吸〜 さ・え・ら書房
赤羽じゅんこ、松本聡美、おおぎやなぎちか、森川成美

ビブリオバトルを題材に、四人の小学生がチャンプ本を目指して本にかかわるお話。

ビブリオバトルとは、設定された条件の中で一冊の本を紹介、いくつかの質問を受けるというプレゼンテーションを通じ、最も読みたい本を選ぶというイベントである。登場する四人がそれぞれ一冊の本を紹介する。され、チャンプ本に選ばれるのはどの本だろう・・・

なかなか上手い構成である。四人の子供たちを通じて、それぞれのジャンルの本への道を作る手際が自然でよい心持である。それぞれ、物語、詩歌、ノンフィクション、サイエンスとなるだろうか。子供たちの良き導き手となるような、素敵なガイドともなるように企画されている。

読書に興味のある子供たちにプレゼントしたい一冊である。
posted by 灯台守 at 20:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 児童文学

2016年08月23日

夜間中学へようこそ 山本悦子

「夜間中学へようこそ」 山本悦子・作 岩崎書店
山本悦子さんの新刊が、この本。岩崎書店は良い本を出すなぁ・・・というのが、第一印象。夜間中学という舞台を、持ってきた本を出す出版社魂に一票というところ。
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Amazonの書評が、なかなか良いので一読をオススメしておきます。ちなみに、☆5つ。

主人公は中学に入ったばかりの優菜。(あれ、坂の上の図書館の主人公とよく似ている・・・あっちは春菜)
入学して落ち着かない日々の中で、同居しているおばあちゃんが「夜間中学」とやらに行くと言い出す。一家は大騒ぎになって、息子であるお父さんは大反対。しかし、優菜が送り迎えのサポートをすることになるが・・・

山本悦子さんの学校ものは、やっぱり水を得たサカナという感じである。あの登場人物群もやり取りもリアリティがある。決して作り物で想像だけのものではない、実体験に裏付けされたモノが語る力がある気がする。物語の途中からは、孤立していた和真と優菜のやり取りにドキドキし、松本さんとの会話で泣かされ、大団円となっていくところは、さすが読ませてくれる。

義務教育という義務とは親の義務であり、子の義務ではない。子ども達にあるのは学ぶ権利なのだ。その権利は子ども達にだけ有るのではない。自らの勉強のために夜間中学へむかうおばあちゃんの背中は、優菜にとって、誇らしいものだったに違いない。

一読すれば、優菜や和真の成長物語であるが、もういちど「学ぶ」というものを考えなおす良いキッカケを与えてくれる本でも有る。子どもたちに「どうして勉強しないといけないの」と問われて答えに窮することが無いように・・・
posted by 灯台守 at 21:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 児童文学

坂の上の図書館 池田ゆみる

「坂の上の図書館」池田ゆみる さ・え・ら書房
さ・え・らって「ここかしこ」っていう意味だと初めて知った次第。勉強はするものです。
ちなみにAmazonのリンクは下記。
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主人公は小学五年生の春菜。苦労のあげく自立支援センターで母と暮らすことになった彼女は、支援センター「あけぼの住宅」の横にある市民図書館で、初めて図書館に入った。そして初めて本を借りる。漢字も余り知らない春菜だったが、本を読む楽しさを知る。積極的に話し掛けてきてくれた佐久間さんや病弱な清水くんたちとの関わりの中で、本を読むことと出会った、そんな女の子のお話。

お話は春菜の視点で進んでいく。母子家庭の課題も背景に感じさせつつ、お話は進んでいく。なにより、その中心は図書館で出会った本達だ。やかまし村やエルマーのぼうけんというスタンダードが登場し、嬉しい限り。今の子供達にも受け入れてもらえるのだろうか・・・という疑問はあるが、名作の力を信じつつ読み進む。

物語のピークは、何と言っても作者自身と遭遇するところだろう。たぶん、著者の体験もあってだろうが、「司書になりたい」という春菜のまっすぐな答えが微笑ましい。

物語の中で、最後に春菜が読む本は、「あしながおじさん」である。誰の訳を読んだのだろう。図書館なので今は手に入らない谷川俊太郎・訳か?(実は、谷川さんの初翻訳は「あしながおじさん」)などと考えながら読み進むのも楽しい。

全体を通じて、春菜の成長を見守りつつ周りの子供達も変化していく姿が印象に残る。当初は自分の殻に閉じこもっていた彼女は周りの人たちや出会った本に支えられて一歩踏み出すことが出来たということだろう。

手慣れたというよりも、こつこつと書き上げられた印象を受ける本作は池田ゆみるさんの処女作とのこと。今後の活躍を期待したい。
posted by 灯台守 at 21:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 児童文学

2015年05月07日

いくたのこえよみ 堀田けい

いくたのこえよみ 堀田けい 理論社

児童文学同人誌「ももたろう」から生まれたちょっと不思議なお話。

ある日、塾をサボって古ぼけた百貨店の屋上にいたオガタは、目立たない転校生のいくたに会う。彼女は「オガタならいいか」と言って秘密を打ち明けてくれた。なんと彼女は人の心が読めるのだ。「それは、カッコいい!!」と「こえよみ」の弟子入りをするが・・・

テレパシーもののSFには名作が多々あるし、パターンも出尽くした感がある。読み始めは、どこかの類例に入るかと思っていたが、今まで無いパターンに発展した。なかなかよく考えられた集約であるし小学生高学年の同感も得ることが出来るとおもう。描写も丁寧だし、絵が見える。SF的には気になる部分もあるにはあるが、キャラクタは立っていて気持よく読める。主人公の気持ち良い成長が好感を持てるのは非常に良いと感じた。

続編が読みたい気分にさせてくれる一作。
posted by 灯台守 at 06:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 児童文学

2015年04月22日

テディベア探偵〜ゆかたは恋のメッセージ?〜 山本悦子

テディベア探偵〜ゆかたは恋のメッセージ?〜 山本悦子 ポプラポケット文庫

シリーズ3巻目。今回は浴衣の謎を解く・・・のかな。

夏休み、リンとモエは古着屋「MUSUBU」で、メイが持ち込んだ可愛い浴衣に疑問を抱く。なんと、その浴衣を着ると好ましい男の子に告白してしまうという。どうも、浴衣には何かの想いがあるようだ。マックスとリンはその想いを探ることに・・・

今回のキーワードは浴衣。そしてツバメと手作り。毎回、マックスとリンは物に込められた想いを推理するが、今回はなかなかおとなエピソードだったりする。モエとリンの掛け合い、マックスのツッコミとシリーズ物の安心感も抜群で、小さい読者も楽しんで読めるだろう。

これで、シリーズも中盤らしい。いよいよ次巻でマックス自身の謎が明らかになるのだろうか。楽しみにして待つ・・という感じかな。
posted by 灯台守 at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 児童文学