2017年08月29日

ウォーターシップダウンのウサギたち リチャード・アダムス

ウォーターシップダウンのウサギたち リチャード・アダムス 評論社 神宮輝夫・訳

読書会で新訳を読んだので備忘録として。

ヘイズルは生後1年の野ウサギ。弟ウダギのファイバーは、時々未来を語ることがあるが、その彼が今の群れの危機を予言する。そして、弟の言葉を信じた、彼は少数の牡ウサギと脱出を図る。見事、危機を脱した彼らは幾多の危機を乗り越え、新たな村を作るが・・・

ウサギの生態を踏まえ、見事な描写で語られるお話は見事な冒険ファンタジーとなる。牝のいない群れのためにヘイズルは将軍が率いる村から牝ウサギを奪取するが、もうドキドキの連続である。そして最後の戦いなど、あっという解決方法で読者を欺く。

しかし、なんと雄大で懐かしい風景の連続であることか。出版されて50年を迎えようとするこのファンタジーは、いまだに色褪せず、イギリスの風景とフサギ達を見せてくれる名作である。
posted by 灯台守 at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー

2017年08月06日

バベル九朔 万城目学

バベル九朔 万城目学 KADOKAWA/角川書店

祖父が遺し花親が引き継いだ古くてしがないテナントビル「バベル九朔」。主人公はその管理人をしながら小説家を目指していた。ある日、テナントビルに泥棒が入る。警察はとある写真を彼に見せるが、それは当日ビルに現れた黒ずくめの女だった。再度、ビルに現れ彼を問い詰める「扉はどこにある?」と。

五階建てのテナントビルを舞台に妄想と異世界と論理の崩壊が混濁するファンタジーといえる。今までのわかりやすい万城目ファンタジーとは違い、根底に流れる世界観/哲学を受け入れられるかどうかがカギ。一転二転する世界構築の背景を追っていける人は幸いなり・・・

私は、可もなく不可もなく。万城目さんへの期待は、もう少し高いかな?
よって、若干評価低め。
posted by 灯台守 at 18:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー

2017年07月23日

かがみの孤城 辻村深月

かがみの孤城 辻村深月 ポプラ社

学校に行けなくなった、安西こころ。あるとき彼女は鏡の中から呼ばれ、同じ中学生とともに「鏡の城」の「願いの部屋」の「願いのカギ」を探すことになる。集められた7人は、なぜ集められたのか、願いのカギとは、そして「オオカミさま」とは・・・ 様々な感情、想いが交錯し、一年の月日が流れる・・・
果たして彼・彼女たちはどうなるのだろうか。

たぶん特異な形のファンタジー作品。しっかりと現代世界に結び付けられていながら、向こう側の孤城との話も尽きない。ファンタジーでありながら、派手な魔法もバトルもない。しかし、物語が進行するにつれて7人の背景や事実が表れてくるに従って謎は謎を呼ぶ。ミステリー的な話をベースにしつつ、人間関係をさりげなく描きながら、大団円に持っていく描き方は辻村さんの真骨頂だろう。

やっぱり最後の数ページで、辻村節が満開となる。やっぱり上手いの一言につきます。
posted by 灯台守 at 18:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー

2017年07月10日

荒神 宮部みゆき

荒神 宮部みゆき 朝日新聞出版
すでに文庫化されているらしい。(新潮文庫)

時は江戸時代初め。東北の山間にある隣り合うに二つの藩の境界あたり、ある村が壊滅的な状況となっていた。生き残りは少数で、その一人の少年・蓑吉は隣の藩の集落に助けられる。一方、香山藩の病みついた小姓・直弥は、藩の世継ぎの奇怪な病の状況に影響されしばらく身を隠すことになる。山に向かった彼は、想像すらしなかったモノに出会う。この元凶は何か。山神の使いか人の悪意か・・・

宮部さんの江戸時代ファンタジー。キャラクターの立て方は、さすが宮部さんで上手い。少年・蓑吉などは、好感が持てて、なかなか良いです。若干ステレオタイプの感じがしないでもないけど・・・
さて、肝心なストーリーは、名手だけあって破綻なくたたんでくれ、複線の回収もきっちり行ってくれる。ただ、面白いんだけど、全編を通じて重い空気感があるのはなぜか。宮部ファンタジーは手堅く、破綻もなく、エンターテイメントしてくれて、外れはないのだけれど、大当たりにはならない。不思議・・・

宮部さんファンにはお勧め。でも過剰な期待はするべからず・・・と記載しておこう。

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2017年07月08日

メアリと魔女の花

メアリと魔女の花 メアリー・スチュアート 角川文庫

夏休みを田舎で暮らすことになったメアリ。退屈な日々に飽きていたある日、黒ネコのティブと出会い、不思議な花“夜間飛行”を見つける。庭にあったほうきに、夜間飛行の花の汁がつくと、突然ほうきは空高く舞いあがり、魔女の学校へと連れていかれるが…。

原作は、かつてあかね書房から出ていたが、絶版。今回、米林監督の映画化で復刊。普通の展開で、普通のストーリーかもしれない。魔法学校の描写は印象的で魅力的な感じを強く受ける。ただ、ファンタジーの大原則である「主人公の成長」に関しては薄い印象しか残らない。

それに対して猫のティブは非常に印象的。たぶん、ティブだけで持っていく感じがするな。
posted by 灯台守 at 05:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー