2015年05月11日

ソウルケイジ 誉田哲也

ソウルケイジ 誉田哲也 光文社文庫
ストロベリーナイトの姫川刑事が帰ってきた! シリーズ第二弾。

多摩川の土手に乗り捨てられたワンボックスカーに残されていた血痕と左手首。現場の近くの工務店では大量の血痕が発見された。警察は、その工務店店主が殺害されたと考え、周辺を追跡するが・・・。暴力団のフロント企業と、事故を装った保険金詐欺が徐々に浮かび上がってくる。

前作のストロベリーナイトがジェットコースターなら、こちらはメリーゴーランドと言うべきか。ドンデン返し的な大技はないが、その分積み上げられる人間模様が胸を打つ。人の哀しさという流れをどう捉えるかがカギの作品。丁寧な人間描写、刑事たちの心情を淡々と描く部分に好感を持った。

相変わらずの姫川と対照的な日下の描写がなかなか良い。次作にも期待して読もうと思う。
posted by 灯台守 at 06:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2015年04月18日

名前探しの放課後<下> 辻村深月

名前探しの放課後<下> 辻村深月 講談社文庫
着々と、自殺防止のための対策をすすめる依田いつかたち。X-Dayであるクリスマスイブは近付いていくが、はたして彼らはクラスメイトの自殺を止めることが可能なのか。

後半は素晴らしい青春小説になってくる。高校時代はこうだったなぁ・・・という感じが蘇ってくる。この友人関係は素晴らしい。プラス、辻村深月作品をずっと読んでいるファンはこの登場人物たちが通ってきた過去を熟知しているので、感情移入度はハンパ無いと思う。

注意点はひとつ。「ぼくのメジャースプーン」を知っているかどうか。本作を読む前に絶対読むべき。読んでいると、作品中ある人物評価で「結局歪な正方形になった」というたとえの意味が分かります。二重、三重の意味で泣きますね。

結論的には、青春小説+ファンタジー要素+どんでん返しの傑作と言えます。何年ぶりかの★5つ。ただし、「ぼくのメジャースプーン」は事前読破が必須。「凍りのくじら」は「ぼくスプ」が読めたら次に事前読破がオススメ。「子どもらは夜に遊ぶ」は余裕があれば読んでおいたほうが良しという感じ。

そのくらい準備すれば、最後の感動は読んでない場合の数倍になると思う。本作のAmazonの評価はネタバレになるので見てはダメだが、★5つと★1つの差は、事前に上記作品を読んでいるかどうかで決定しているので間違いありません。
posted by 灯台守 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2015年04月17日

名前探しの放課後<上> 辻村深月

名前探しの放課後<上> 辻村深月 講談社文庫
依田いつかが気がついた時、季節は秋だった。直前まで年が明けて・・・と思っていたハズなのに。おかしなことは多々あった。何よりも、「クラスメイトが誰か自殺した」という記憶があること。それもクラスマスイブに。彼は坂崎あすなと共に「自殺するクラスメイト」を探し始める。その行動を止めるために。

SFなのかミステリなのか不思議な分類分けになるだろう。ファンタジーといった方が良いかもしれない。辻村ファンなら御存知の通り、他作品とのリンクは今回も登場。「凍りのくじら」からは松永くんと多恵さん、そして主人公らしき方も登場する。また「スワロウハイツの神様」からはチヨダ・コーキの名前も見受けられる。なにより重要なのは「ぼくのメジャースプーン」。この作品を読んでいるかどうかで、まったく違う作品になる。

別の見方をすると同一シリーズといえるかも。

かなりのめり込みやすい世界なので、一気に後半へ。
posted by 灯台守 at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2015年04月16日

怪盗ニック登場 エドワード・D・ホック

怪盗ニック登場 エドワード・D・ホック ハヤカワミステリ文庫
価値の無い物を盗む怪盗ニック。人殺しはしないし、美術品・宝石もちろん現金も盗まない。報酬は多額だが、見事に盗むニックの活躍を描く。

斑の虎
真鍮の文字
大リーグ盗難事件
カレンダー盗難事件
青い回転木馬
恐竜の尾
陪審員を盗め
革張りの棺
からっぽの部屋
くもったフィルム
カッコウ時計
将軍の機密文書

基本的に、「価値の無いもの」の価値がトリックになっている。そうおもいきや、ちょっとひねった作品もある。ミステリ初心者には良いかも。私のように根性悪には不向きかな(笑)
posted by 灯台守 at 05:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2015年03月30日

子どもたちは夜と遊ぶ <下> 辻村深月

子どもたちは夜と遊ぶ <下> 辻村深月 講談社文庫
「i」に翻弄される浅葱。その指示は狐塚に向けられる。そして・・・
「i」の正体は誰か。そもそもコンテストでの「i」とは・・・

ミステリというよりも青春群像劇でしょう。深月ファンにはたまらないのが秋山先生の事件かもしれない。「ぼくのメジャースプーン」を読んだ人は、秋山先生の行動がよく分かると思う。

ミステリとしてのカタルシスは少ないかもしれないが、独特な深月ワールドが好きな方にはオススメ。しかし好き嫌いがはっきり出てくるお話だとは思う。
posted by 灯台守 at 20:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ