2019年05月19日

サスツルギの亡霊 神山裕右

サスツルギの亡霊 神山裕右  (講談社文庫)

本屋大賞の発掘部門で知り読んだ。

南極探検隊における殺人という設定が素晴らしい。ある意味、広大な密室であり、南極探検隊隊員以外の犯人はないところがミソ。動機の納得性と、落ちが良いかというと、いまひとつ。

途中まで引っ張るところは良いけど、いろいろな登場人物があれこれ絡んで来るのでカタルシスは少ない。もう一ひねりして落ちを工夫すれば名作か。
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2019年01月23日

怒り・上下 ジグムント・ミウォシェフスキ

怒り (上・下) ジグムント・ミウォシェフスキ 小学館

ポーランドの作家さんらしい。「ポーランドのルメートル」と呼ばれているらしいが、似ているのは素材だけだと思う。

なかなか謎の設定。死後、数十年に見える白骨死体。しかし一二週間しか経過していないことが判明。謎を追う検察官を描く。ミステリーというよりクライム小説といった方が正しいかも。

欠損なく残っている骨だったが、生前の彼にはなかった指の骨まで補填されていた・・・
DV被害者とその加害者の不可思議な事件、娘との確執等が絡み、結末へなだれ込む。 一級のクライム小説ではあるが、結末は不満足な感じ。
posted by 灯台守 at 08:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2018年09月29日

その女アレックス ピエール・ルメートル

その女アレックス (文春文庫) ピエール・ルメートル
突然誘拐されたアレックス。誘拐したのは、前の彼氏の父親。どうも息子の行方を聞き出そうとしているらしい・・・ 檻に閉じ込められた彼女は奇抜な方法で脱出するが。
脱出した彼女は、なぜ警察に行かないのか謎が謎を呼び、警察は彼女を追う。そして驚愕のラストへ・・・

かなり評判になった一冊。かなり前に108円で購入していたが、読む機会がなかった。がついつい読み始めたら止まらない!! 誘拐されたアレックスが悲惨な状態に追い込まれ、そこから奇抜な手法で脱出する彼女だが・・・次々に展開する彼女を取り巻く状況、追跡する刑事たち、最終的に到達する結論を含めてミステリというよりも高度なサスペンスな一冊と言える。主役のアレックスに対する感情が一転二転三転する話だった。ただ、最後が気に入らない人もいるかもしれない。私は、かなり良いサスペンスと思った次第。
posted by 灯台守 at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2018年09月26日

碧空のカノン:航空自衛隊航空中央音楽隊ノート 福田和代

碧空のカノン: 航空自衛隊航空中央音楽隊ノート (光文社文庫) 福田 和代

連作短編ミステリというか、ちょっと不思議な話。

ギルガメッシュ交響曲
ある愛のうた
文明開化の鐘
インビジブル・メッセージ
遠き山に日は落ちて−渡会俊彦の場合
ラッパ吹きの休日

以上の6編

福田和代さんは初。航空自衛隊所属の音楽隊でのちょっと不思議な謎のお話の連作ストーリー。自衛隊内の音楽隊の内容や音楽を志す若者の葛藤、ちょっとしたラブストーリーもあって、ラノベ的に楽々読める。主人公のカノン(佳音)の性格設定がなかなか面白い上、周りの人物もキャラクターが立っている。シリーズ化されていて今後も楽しめそう。
posted by 灯台守 at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2018年09月16日

薔薇の名前 <上・下> ウンベルト・エーコ

薔薇の名前 <上・下> ウンベルト・エーコ 東京創元社

たぶん十数年ぶりの再読。ミステリのフリをした哲学書だと思って読むと良いかもしれない。「100分で名著」の解説が丁寧で合わせて読むとグングン進むのが不思議ではある。ページを開けば中世の修道院に誘われ、ワトソン役であるアソドの独白に幻惑される。見事に異世界の感覚を味わいながら読み進む。

ミステリのネタや犯人自体は意外性なしだが、やっぱりそれだけではないのがミステリの面白さ、小説の醍醐味なんだろう。次々に発生する殺人、怪しい修道士、その最中に唐突に登場する異端審問官、謎の書物の存在する何人であれ出入りを拒む秘密の部屋等々が物語の奥行きと雰囲気を作り出す。難読なのは変わらないが、束の間、中世のイタリアの山中を垣間見せてくれる筆力は半端ない。さすが、エーコの代表作だろう。
posted by 灯台守 at 18:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ