2017年02月07日

福家警部補の挨拶 大倉崇裕

福家警部補の挨拶 大倉崇裕 創元推理文庫

ミステリー読書会の課題本が、「福家警部補の再訪」ということで購入したが、実はシリーズの2作目とのことでビックリ。まずは第一作目から読むのが礼儀作法だろうと思って、購入したのが、本作品。

刑事コロンボばりの倒叙モノの傑作シリーズ。ちょっと見は若い事務職のOLのように見える福家警部補。150cmちょいの身長だが、徹夜明けもまったく感じさせないバイタリティと鋭く深い洞察力で犯人に迫るのは、素晴らしい。この本には4つのお話が収録されている。

最後の一冊
オッカムの剃刀
愛情のシナリオ
月の雫

以上の4編。倒叙モノは犯人はわかっていながら、話が進むミステリである。完璧と思える犯人の知恵がどこから崩れるのか、読者への挑戦はあざやかで、少し哀しい。名編の福家警部補シリーズは、そんな倒叙モノの傑作といえよう。
posted by 灯台守 at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2016年04月23日

和菓子のアン 坂本司

和菓子のアン 坂本司 光文社文庫

なんとデパートの地下にある和菓子のお店を舞台にした連作ミステリ(?)

和菓子のアン
一年に一度のデート
萩と牡丹
甘露家
辻占の行方

以上5作の短編集。主人公の梅本杏子は高校を卒業したものの就職の意欲がわかない。でもフラフラするのも嫌だしということで結局、アルバイトをすることにした。行った先はデパ地下のバイト募集。そこで和菓子のお店に務めることに。上司の椿店長、社員の立花さん、同僚アルバイトの桜井さんと個性あふれる?面々と日常の謎に触れることになる・・・

「日常の謎」という分類になるかもしれない。非常に癒される優しい文体と内容に取り込まれてしまう。おまけにキャラクタが良い。続編が気になると思っていたらつい最近「アンと青春」が出ました。楽しみなシリーズになりました。
posted by 灯台守 at 09:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2016年02月15日

戦場のコックたち 深緑野分

戦場のコックたち 深緑野分 東京創元社
第二次世界大戦の連合軍の特殊兵・コックたちのお話。ミステリの形態をとってはいるが、内容は戦記物に近い。

連合軍のアメリカ兵となったティムとコック兵の仲間が織りなす戦場での物語。ナチス・ドイツと戦う彼らがたどりつく先は何か。

はっきり言って最初は読みづらかった。徐々に慣れていき、最後は・・・。あの最終10ページの感動はその前の話が無くては皆無だろう。ミステリとして、トリックとしてはさほどの作品ではないかもしれないが、人間模様は素晴らしい。戦後70年を過ぎて語られるべき話かもしれない。
posted by 灯台守 at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2016年02月11日

王とサーカス 米澤穂信

王とサーカス 米澤穂信 東京創元社
太刀洗万智シリーズ第二弾。といっても私は第一弾を読んでいないがさほど問題は無かった。まあ、キャラクタの把握に時間がかかったが・・・。時は、2001年ネパールで発生した王家の複数王族殺害事件発生時に絞って、同時発生した殺人事件を追う話。

王家の事件発生時に偶然ネパールにいた太刀洗万智は、その背景を探ろうと取材を始めるが、その矢先に一人の遺体に遭遇する。なぜ、そこに死体はあったのか。なぜ、殺されたのか。そして・・・。

ジャーナリストの報道とはという永遠の課題を抱きつつ、今日もニュースは流れ続ける現代。ネパールで事件等遭遇し、取材活動を行う彼女。物語の最後に彼女が得たものは何だったのか。

ミステリとして評価すれば、作中のトリックは傑出しているは言えない。しかし、それを補って余りある事件の設定/環境はさすがである。ネパールの当時の緊迫した背景と現地の環境/文化が織りなす物語は、読者を引き込んで行く。まずまずの佳作だが、トリックの一部はそうそうに推察できたのでそれほど驚きは無かった。残念。
posted by 灯台守 at 16:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2015年09月13日

インビジブルレイン 誉田哲也

インビジブルレイン 誉田哲也 光文社文庫
ストロベリーナイトから続く、シリーズ第一部終了ともいえる作品。不可解な上層部からの指示、玲子の独断からすすめる操作上に浮かぶ容疑者の姿。そして、彼女が惹かれる一人の男性。複数のストーリーが結実した後、やりきれない思いが残る。

巧みな構成と、描写力でぐいぐい読者を引っ張っていくのはお得意だろう。そして、伏線が収束していくのは読者としてたまらない。しかし、行き着く先は救われない気もする結末。

まずは、一部完了という感じ。シリーズで出てきたメンバーで気になる人もいるし、短編集で出てきた話もある。第二部は、現在、3冊は出ている。楽しみに読みたい。

posted by 灯台守 at 13:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ