2019年02月02日

火のないところに煙は 芹沢央

火のないところに煙は 芹沢央 新潮社
本屋大賞候補作 8作目

ミステリかと思いきや、純粋なホラー・・・と思ったら、思うツボかもしれない。とある作家さんが、怪談の依頼を受けて連作する話だが、一話一話の理由が怖い。裏の理由を探るフェーズがまことしやかで納得してしまう。ただ、この本は、そんなに単純ではない。そう、「火のないところに煙は」という題名が非常に意味深である・・・
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2019年02月01日

フーガはユーガ 伊坂幸太郎

フーガはユーガ 伊坂幸太郎 実業之日本社

本屋大賞候補作 7作目

伊坂さんの新作。双子のお話だけど、結構しんどいエピソードが続くので、読み進めるのに努力が必要な方もいらっしゃるかもしれない。伊坂さんお得意の特殊な設定が読者をとらえて離さない上に、今までの作品ほど、特徴のある伏線と回収は無いけど、さすがに伊坂節健在でしょうか。 読みやすさに騙されるけど、内容は厳しい話が続き、最後も決してハッピーエンドではない。芯が残る作品。
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2019年01月31日

ひとつむぎの手 知念実希人

ひとつむぎの手 知念実希人 新潮社
本屋大賞候補作 6作目

知念さんの本なので「またまた、最後のどんでん返しの話?」と思いきや、まったく違うテイストの話だった。結構、青春しているし、ブラックジャックしている。実際の心臓外科医の勤務状況がこのような感じなのか不明だけれど、かなりのめり込んで読み進めたことは確か。ミステリ色は多少あるけど、医療に向かう主人公がかっこよすぎる気はした。

話はストレートで、トリッキーな点も複雑な話もなく、知念さんには珍しい普通の小説。それだけに、医療の現場のリアリティが気になるところ。青春ミステリ的な、感動ものだったのが意外。
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2019年01月30日

ひと 小野寺史宜

ひと 小野寺史宜 祥伝社
本屋大賞候補作 5冊目

まさに青春小説。買おうとしたコロッケを譲ったことから、その惣菜店にアルバイトとして雇われる彼は、父に続いて母を亡くしたばかりだった。そして、彼はひとりで生きていくことになる・・・

悪人は、あやしい遠い親戚のオッサンのみ。青葉の元カレは嫌な奴だが、悪人ではない。周りの人々のいいひと具合が割とリアル。特に大学の友人のリアルさが半端ない。特に剣って、ああいう人いるよねって感じ。

全編を通じて、「ひと」とのつながりを描く。「ああ、そういう繋がり、縁ってあるなぁ」と思ってしまう。結局、人は一人では生きていけない。そのことを改めて感じさせてくれる、そんな話だった。
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2019年01月29日

ある男 平野啓一郎

ある男 平野啓一郎 文藝春秋
本屋大賞候補作 4冊目

二歳の子をなくした彼女が再婚した夫が不慮の事故で亡くなった。しかし、その夫が名乗っていたのは、まったく別人だった。その背景を探る弁護士は、何を見たのか。人々が自分だと認識している事象は、過去の記憶にしかならないというやるせない主張が浮かび上がってくる。平野啓一郎さんが唱える「分人主義」の考えが、浮かんでは消えてゆく。家族のつながり、夫婦のつながりを改めて感じるが、一筋縄ではいかない想いがそこにはある気がする。

単純そうな描写に、平野さんの考えが投影されているように見える。再読すると、登場人物への想いが変わるかもしれないと思った。
posted by 灯台守 at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) |