2018年12月16日

梟の城 司馬遼太郎

梟の城 司馬遼太郎 新潮文庫

今年の菜の花忌課題図書。とりあえず選択したのは新潮文庫だが、かなり活字が小さい。目で追いきれない時がたびたび登場することに困惑した。

信長に滅ぼされた伊賀の忍者として生き残った精鋭の二人、風間五平と蔦籠重蔵。二人は運命に導かれ秀吉を巡る陰謀と攻防を戦う。さながら二振りの刃のようだ。彼らを取り巻く二人のくの一、木さると小萩とのかかわりを描きつつ、男と女の本質、伊賀と甲賀の忍者の生き様を司馬遼太郎の感性を持って現代に伝えてくれる。こういう忍者小説もあってよいと思わせる一冊。

メインの二人の戦いは少なく、周辺で登場する戦いが見事に描かれ、引き付ける。また、男女のかかわりを司馬遼太郎的に切り取るさまも面白いといえる。

最後に、秀吉を討つことが出来るか・・・という点に限れば歴史上の事実もあって揺るがしがたいが、そこはやっぱり最後には想定外の落ちが待っている。さすが司馬さん。脱帽である。
posted by 灯台守 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) |

2018年08月29日

冬の夜ひとりの旅人が イタロ・カルヴィーノ

冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス) イタロ・カルヴィーノ

えらいケッタイな構成と内容の本。初めてイタロ・カルヴィーノ の本を読んだが、脳みそが揺さぶられる感覚を得た。

冒頭、イタロ・カルヴィーノの本を購入し「冬の夜ひとりの旅人が」を読み始めたら、32ページ前後で乱丁を見つける。購入した書店に行くと同じ状況の本を持参した女性に巡り合う・・結局、読者の男性が次々と中途半端な本を読み続ける状況を語る話になるが、途中の「話中話」が、なかなか興味深い話なのだ。でも、いいところで終わるのだ。なお、最後の締めも意味深で良いと思う。今までの小説に飽きた方にはオススメ
posted by 灯台守 at 19:06| Comment(0) | TrackBack(0) |

2018年08月04日

読書の価値 森博嗣

読書の価値 森博嗣 NHK出版新書

森理論が展開される読書論・・・と言うか森さんの考えが淡々と提示される。
読書に向かう契機は「未知」と「確認」とは、さすが上手いまとめ方だと思う。森さんの本を選ぶ基準は、ほぼ「未知」と文中で述べているが、私も同じかもしれない。そのためかどうか、解らないが「本を紹介されて読む」ことは「誰か親友を紹介して」と人に頼むのと同じ事だと続く。なかなか手厳しい。まさに森節が炸裂と言うか。

ファンには周知の事実には、ちょっと触れるだけで、新たなエピソードを語る。特に「執筆にあたる行為は頭の中のコンテンツをプリントアウトすることと同意」とは、凄い。常に出版一年前に原稿を渡すというスタンスの森さんならではかも。
posted by 灯台守 at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) |

2018年07月06日

ファイア・サイン 女性消防士・高柳蘭の奮闘 佐藤青南

ファイア・サイン 女性消防士・高柳蘭の奮闘 佐藤青南 宝島社文庫

横浜市消防局湊消防署に勤める任官2年目の女性消防士、高柳蘭を主人公に語る第二弾。
2ヵ月間で42件もの火災が発生している湊区管内。出火場所も集中し、火災原因も明らかになっていないことから、警察は事件性を疑う。
火災原因調査員の木場は、根拠の薄いことから「事件」との見方に慎重になる。そんな中、蘭の所属する浜方隊は、殉職者を出してしまう。

伊藤さんお得意の青春お仕事小説、消防士版第二弾。さすが、取材は徹底しているが、出荷原因は、ちょっと無理でないかい?という感覚はある。一件、二件はあるかもしてないが。
一方、物語のストーリーは手慣れたもので、うまく読者を翻弄する。読者にとって、登場人物が死亡するって考えられない。読み続けるのが辛くなる。おまけに主人公の過去に見事に重なってくるのだ。しかし、そこを乗り越えないと彼女の成長は無いことも事実。そこを上手い条件を構築し、見事に納得させてくれる。最後のシーンが宝物になるよなぁ。(10代なら確実。50代、還暦直前は・・・ノーコメント)

残念ながら、このシリーズは現状ここまで。白バイガールとともども、彼女たちの今を垣間見たい。
posted by 灯台守 at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) |

2018年07月02日

白バイガール 駅伝クライシス 佐藤青南

白バイガール 駅伝クライシス 佐藤 青南 (実業之日本社文庫)

シリーズ三作目。いよいよ箱根駅伝登場・・・でも木乃美が先導するワケ(実力?)は無い。ご存知、川崎潤ちゃん登場。しかし、このシリーズ、普通に始まらない。

七里ガ浜殺人事件の捜査を進めていた中、白バイ隊も暴走族のリーダーで主犯格の男を追う。
駅伝が進行する中、逃走する犯人が目指すものは。そして、駅伝は無事進行するか。

著者お得意の二重三重の仕掛けが今回も満載。疾走感抜群の白バイ追走シーンは迫力満点である。ご都合主義で予定調和かもしれないが、暴走族の事件と箱根駅伝、先導のメンバー、誘拐騒ぎが見事に収斂していく様はミステリーの真骨頂だろう。
posted by 灯台守 at 07:52| Comment(0) | TrackBack(0) |