2017年04月14日

図書館の魔女 1〜4 高田 大介

図書館の魔女 1〜4 高田 大介 講談社文庫
かのメフィスト賞受賞作。分厚い文庫本が四冊。恐れをなすか、にやりと笑って読み始めるかは、アナタ次第。

とある国々が接する海峡の帝国。そこには世界でも有名な図書館がある。その図書館よりも、その館長が歴代に渡り政治を操ってきたことは誰しも知るとおりだった。そして今。かの図書館には魔女が住むという。その魔女と送り込まれた男の子、キリヒトが出会ってから、時代は容赦なく回り始める。彼女と彼の行く手には何があるのか・・・。

四巻の厚さを感じさせないストーリーとプロットは素晴らしい。そして言語学者たる著者の言葉への思い入れや散りばめられた薀蓄の多様さに敬服する。そして、なにより主人公とその周りの人達ちのキャラクターが立っていて読んでいて楽しい。主人公の設定は、最初の50ページ程でわかるのだが、その設定こそ、後々効いてくるのは見事としか言いようがない。

昨年のベスト3のうちの2冊め。あまりにもったいないので、続編が読めないのは、幸せなのだろうかと考えてしまう作品である。
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2017年04月12日

ジェノサイド 上 ・下 高野和明

ジェノサイド 上 ・下 高野和明 角川文庫
随分遅くなったけど、2016年読了した本、ベスト3の一冊。

イラクで戦うアメリカ人傭兵と、日本で薬学を専攻する大学院生。、まったく無関係だった二人の運命が交錯する時、何かが始まる。そしてアメリカの情報機関が探ったある事実と動き出す人々。複数の糸が絡み合い、紡がれた結果はいかなる文様を描くのか。

ノンストップのエンターテイメント。フィクションでありながら、まさに真実と思わせる。薬科大学の学生の父親の謎の言葉、傭兵の抱く苦悩、そして様々な事象が伏線となりエンディングに向かって疾走する模様を逐次追いかけるのは本読みの本望に違いない。

すずらん本屋堂最終回に、コメンテーターから進められた「これぞ珠玉のエンターテイメント」という言葉にウソはなかった。絶対おすすめ鉄板の胸躍る一冊(というか上下2冊だけど)
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2017年04月05日

コンビニ人間 村田沙耶香

コンビニ人間 村田沙耶香 文藝春秋
本屋大賞候補10作も、これで最後です。

36歳で未婚。古倉恵子は、大学時代に始めたコンビニのバイトを続けること18年。その生活に、どっぷりと浸かっている。日々食べるのはコンビニ食で、四六時中コンビニの生活が続く。コンビニでの店員生活が、彼女の人生だったが・・・。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。

こういう見方も、考え方もあるということかもしれない。常識というものは、やはり社会という物が作るのだろう。私達が持っている常識は、所詮、私を含む集合体が作っているのだけど、誰も疑問を持たない不思議なモノ。

彼女が異常で私達が正常と切り分けているのは、私達の側で彼女の側ではないのだろう・・・

たぶん、本屋大賞の候補作にならなければ読まなかった作品。こういう出会いもあるということかと思う。
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2017年03月12日

蜜蜂と遠雷 恩田陸 

蜜蜂と遠雷 恩田陸 幻冬舎
本屋大賞候補作、9作目。架空のピアノコンサートを追いながら、音楽とはなにか、天才とはなにか、そして人生の深遠に迫る作品。全編、文章のみでピアノやオーケストラの再現に挑む作品。

芳ヶ江国際ピアノコンクールは100人の一次予選で24人に絞られ、二次予選で12人、三次予選で6人に絞られ本選に進むというものである。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。この4人を中心にコンクールの模様を描く。

かつての名作、「光の帝国」にもチェロとフルートの話があって、チェロによる音楽を描写したシーンが印象的だった。その描写シーンが全巻で表現される。ハマルか違和感で拒絶するか、その人次第だけど私はハマッた。

「チョコレートコスモス」は舞台の描写、本作は音楽の描写と、他の芸術の文字化に挑むのは素晴らしいと感じた。大風呂敷の恩田さんとリスペクトを含めて呼んでいたが、この作品で見事直木賞作家になった。呪縛から解き放たれるかな。
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2017年02月21日

みかづき 森絵都

みかづき 森絵都 集英社
本屋大賞候補作 8作目です。

昭和36年。高校も出ていない大島吾郎は小学校の用務員室で落ちこぼれの小学生の補習を行っていた。そんな吾郎を赤坂千明は塾の世界に引き込む。そして、二人は結婚。千明の連れ子、蕗子と二人の子、欄と菜々美とともに、高度成長する日本をバックに塾の世界へなだれ込んでいく。

吾郎と千明、そして千明の母の頼子、二人の子の蕗子、欄、菜々美、そして蕗子の子の一郎と杏の親子四代に渡る昭和から平成への年代記。根本に流れる「教育」への熱い想いがなんとも言えない。スゴイといえばスゴイが、うっとおしいといえば、うっとおしい。しかし、その畳み掛けるような事件の数々が面白すぎる。前半の千明と吾郎の奮闘ぶりも面白いが、後半の子どもたちの奮戦ぶりも捨てがたい。

折り重なる赤坂家と大島家に面々と続く教育との関わり。最後の吾郎と一郎の話も、ホントに面白い。

壮絶ではなるが、なぜか笑いがこみ上げてくる場面が多い。耐える話もあるが、弾けるエネルギーのある話でも有る。ぜひ画像化して欲しい作品だろう。
posted by 灯台守 at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) |