2019年03月24日

読む力は生きる力 脇明子

読む力は生きる力 脇明子 岩波書店

図書館司書資格のうち児童サービス概論のテキストにて紹介されていた。

「参考」ではなく「必読」となっていて注目。なぜ読書が必要なのか、読むということがどういうことなのか、著者の長年の経験から丁寧に読み解く姿勢は素晴らしい。本とコンピュータとの比較における「デジタルは俯瞰ができない。一覧することによる理解/イメージが不可能」という解析は100%の解ではないかもしれないが当を得た指摘だと思う。

紹介される児童書がツボであり、どんどん引き込まれる。もっと早く出会いたい本だった。
posted by 灯台守 at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) |

2019年02月09日

愛なき世界 三浦しをん

愛なき世界 三浦しをん 中央公論新社
本屋大賞候補作 10作目

本村紗英は、植物の不思議に見せられ、ひたすらシロイヌナズナを育てる日々。そんな彼女に料理人・藤丸くんは恋をした。「植物には愛という概念はないです」という本村さんに、藤丸の想いは伝わるか。

主人公二人も、円服亭の主人である円谷も、研究室の松田教授を始めとするメンバーも魅力的な人々だ。ドラマチックな出来事もなく、淡々と物語は進み、終了を迎える。盛り上がりもなく、静かに終わる物語は、ちょっと物足りない。ただ、こういう物語もあって良しとしたい。
posted by 灯台守 at 18:38| Comment(0) | TrackBack(0) |

2019年02月07日

ベルリンは晴れているか 深緑野分

ベルリンは晴れているか 深緑野分  筑摩書房
本屋大賞候補作 9作目

前回、「戦場のコックたち」にも感じたことだが、日本人作家としてはかなり難度の高い設定条件で語っていると感じる。

敗戦直後のベルリンが舞台であり、時間的には「ポツダム宣言」前後となっている。アメリカ製の歯磨き粉に仕込まれた毒薬で殺害された音楽家。その調査を強いられる少女。その少女と同行する泥棒まがいの男。現在の話を進めつつ、幕間として少女の過去が語られる。ナチスや収容所の話は、フランクル の「夜と霧」をはじめ名作が多いが、この本も大量の資料に支えられていてリアル感は半端ない。ミステリとしての謎レベルはさほどではないが人間関係と戦争の傷跡を語る濃度は濃い。

もうすこし、事後のことを語ってほしい気もした感があったが、これはこれで上手いまとめ方かもしれない。
posted by 灯台守 at 09:41| Comment(0) | TrackBack(0) |

2019年02月02日

火のないところに煙は 芹沢央

火のないところに煙は 芹沢央 新潮社
本屋大賞候補作 8作目

ミステリかと思いきや、純粋なホラー・・・と思ったら、思うツボかもしれない。とある作家さんが、怪談の依頼を受けて連作する話だが、一話一話の理由が怖い。裏の理由を探るフェーズがまことしやかで納得してしまう。ただ、この本は、そんなに単純ではない。そう、「火のないところに煙は」という題名が非常に意味深である・・・
posted by 灯台守 at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) |

2019年02月01日

フーガはユーガ 伊坂幸太郎

フーガはユーガ 伊坂幸太郎 実業之日本社

本屋大賞候補作 7作目

伊坂さんの新作。双子のお話だけど、結構しんどいエピソードが続くので、読み進めるのに努力が必要な方もいらっしゃるかもしれない。伊坂さんお得意の特殊な設定が読者をとらえて離さない上に、今までの作品ほど、特徴のある伏線と回収は無いけど、さすがに伊坂節健在でしょうか。 読みやすさに騙されるけど、内容は厳しい話が続き、最後も決してハッピーエンドではない。芯が残る作品。
posted by 灯台守 at 09:59| Comment(0) | TrackBack(0) |