2018年08月04日

読書の価値 森博嗣

読書の価値 森博嗣 NHK出版新書

森理論が展開される読書論・・・と言うか森さんの考えが淡々と提示される。
読書に向かう契機は「未知」と「確認」とは、さすが上手いまとめ方だと思う。森さんの本を選ぶ基準は、ほぼ「未知」と文中で述べているが、私も同じかもしれない。そのためかどうか、解らないが「本を紹介されて読む」ことは「誰か親友を紹介して」と人に頼むのと同じ事だと続く。なかなか手厳しい。まさに森節が炸裂と言うか。

ファンには周知の事実には、ちょっと触れるだけで、新たなエピソードを語る。特に「執筆にあたる行為は頭の中のコンテンツをプリントアウトすることと同意」とは、凄い。常に出版一年前に原稿を渡すというスタンスの森さんならではかも。
posted by 灯台守 at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) |

2018年07月06日

ファイア・サイン 女性消防士・高柳蘭の奮闘 佐藤青南

ファイア・サイン 女性消防士・高柳蘭の奮闘 佐藤青南 宝島社文庫

横浜市消防局湊消防署に勤める任官2年目の女性消防士、高柳蘭を主人公に語る第二弾。
2ヵ月間で42件もの火災が発生している湊区管内。出火場所も集中し、火災原因も明らかになっていないことから、警察は事件性を疑う。
火災原因調査員の木場は、根拠の薄いことから「事件」との見方に慎重になる。そんな中、蘭の所属する浜方隊は、殉職者を出してしまう。

伊藤さんお得意の青春お仕事小説、消防士版第二弾。さすが、取材は徹底しているが、出荷原因は、ちょっと無理でないかい?という感覚はある。一件、二件はあるかもしてないが。
一方、物語のストーリーは手慣れたもので、うまく読者を翻弄する。読者にとって、登場人物が死亡するって考えられない。読み続けるのが辛くなる。おまけに主人公の過去に見事に重なってくるのだ。しかし、そこを乗り越えないと彼女の成長は無いことも事実。そこを上手い条件を構築し、見事に納得させてくれる。最後のシーンが宝物になるよなぁ。(10代なら確実。50代、還暦直前は・・・ノーコメント)

残念ながら、このシリーズは現状ここまで。白バイガールとともども、彼女たちの今を垣間見たい。
posted by 灯台守 at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) |

2018年07月02日

白バイガール 駅伝クライシス 佐藤青南

白バイガール 駅伝クライシス 佐藤 青南 (実業之日本社文庫)

シリーズ三作目。いよいよ箱根駅伝登場・・・でも木乃美が先導するワケ(実力?)は無い。ご存知、川崎潤ちゃん登場。しかし、このシリーズ、普通に始まらない。

七里ガ浜殺人事件の捜査を進めていた中、白バイ隊も暴走族のリーダーで主犯格の男を追う。
駅伝が進行する中、逃走する犯人が目指すものは。そして、駅伝は無事進行するか。

著者お得意の二重三重の仕掛けが今回も満載。疾走感抜群の白バイ追走シーンは迫力満点である。ご都合主義で予定調和かもしれないが、暴走族の事件と箱根駅伝、先導のメンバー、誘拐騒ぎが見事に収斂していく様はミステリーの真骨頂だろう。
posted by 灯台守 at 07:52| Comment(0) | TrackBack(0) |

2018年06月28日

消防女子!! 女性消防士・高柳蘭の誕生 佐藤青南

消防女子!! 女性消防士・高柳蘭の誕生 佐藤青南  宝島社文庫

新米の消防士になった高柳蘭の奮闘記。彼女は新米の消防士で毎日が闘いの日々。ある日、自分の酸素ボンベの容量が半分以下に減っていることに気が付く。きっちり確認したハズだが、おかしい。同僚の誰かが、自分に嫌がらせを?と思う蘭であったが・・・

白バイガールが当たりだったので、勢いで購入。なかなか上手い。ラノベのノリに騙されそうだが、二重三重の仕掛けはなかなかのモノである。最後の盛り上げも見事だし、伏線もきっちり回収され、気持ちの良いエンディングは読書の醍醐味である。

なおおじさん世代にとって蘭・美紀とくれば・・・と期待してしまうが、ファンならこの二人で止めることに意味があるかもしれない。

消防士の日常を違和感なく描く、青春オシゴト小説の定番シリーズ!!
posted by 灯台守 at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) |

2018年06月26日

フランケンシュタイン メアリー・シェリー

フランケンシュタイン メアリー・シェリー (光文社古典新訳文庫)

有名だけれども、あまり読まれない本の代表格というか。かの有名な「ディオダディ荘の怪奇談義」にて着想され執筆されたホラーSFという事になっている。SFというよりも、ファンタジックな設定に隠された人間の苦悩の話という方向が正しい。

フランケンシュタインは怪物の名前ではなく、怪物を創出した科学者の名前である。話の大枠を作る冒険家とフランケンシュタインの回想と、怪物の苦悩の独白で構成される話は、幸せにたどり着く登場人物はほとんどなく、苦悩のうちに消えていく。かの怪物でさえ、自らの運命に苦悩の声を上げ闇へ消えていく。

ひたすら絶望に苛まれる人という生き物の性が容赦なく語られる物語。わずか19歳という若き美少女が書いたという事も信じられないが、同じ時に「吸血鬼」のモチーフが登場したことも見逃せない。しかも、その時に集まった人々とその関係者も次々に亡くなっていく運命には、うすら寒いものを感じるのは気のせいだろうか。
posted by 灯台守 at 18:40| Comment(0) | TrackBack(0) |