2011年05月26日

赤い髪のミウ

赤い髪のミウ 末吉暁子・著 講談社・刊

鬼ケ島通信に連載され、一冊にまとめられて出版された本。今年の第58回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞されました。めでたいことです。

小学六年生の航が主人公。彼は不登校。たぶん実際に自分の子供が不登校になったら99%の親が「学校に行かせよう」とするでしょう。でも、なぜ学校に行かないといけないのか説明できる親は少ない。よくよく読みかえすと彼の母親は具体的解決策もなく南の島に彼を連れ出しているようにも取れる。自分ではなく、他者にわが子を任せるということは、果たして正しい判断だろうか?

結局のところ、親は万能ではなく、彼は南の島で、あらたな出会いを得る。自ら勝ち得たものだ。それは南の島が彼にもたらしたものかもしれないし、彼自身が成長したからかもしれないし、ミウがくれたものかもしれない。でも彼自身が勝ち得たものであることに変わりはない。ミウもまた、新たな自分自身を得たのだと思う。

不登校となってしまった航や、ハーフであるミウが抱える問題は、他者やお金や政治が解決するものとは思えない。(解決する一助にはなるかもしれないが) 結局のところ、自分自身で問題と相対するしかないのである。最終的には自分自身で立ち向かうしかない問題ではあるが、自分を理解する/理解しようとしてくれる人の存在の大きさもまた、この物語で語られる事でもある。

南の海に、大きな期待を抱くのは無理のないことだ。でも、やさしいだけではない事も事実。この話を読むとその大いなる自然と共に住まう人々のゆるやかな想いが彼らに癒しをあたえているように思うのだった。
posted by 灯台守 at 19:19| Comment(0) | 児童文学
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