ベルリンは晴れているか 深緑野分 筑摩書房
本屋大賞候補作 9作目
前回、「戦場のコックたち」にも感じたことだが、日本人作家としてはかなり難度の高い設定条件で語っていると感じる。
敗戦直後のベルリンが舞台であり、時間的には「ポツダム宣言」前後となっている。アメリカ製の歯磨き粉に仕込まれた毒薬で殺害された音楽家。その調査を強いられる少女。その少女と同行する泥棒まがいの男。現在の話を進めつつ、幕間として少女の過去が語られる。ナチスや収容所の話は、フランクル の「夜と霧」をはじめ名作が多いが、この本も大量の資料に支えられていてリアル感は半端ない。ミステリとしての謎レベルはさほどではないが人間関係と戦争の傷跡を語る濃度は濃い。
もうすこし、事後のことを語ってほしい気もした感があったが、これはこれで上手いまとめ方かもしれない。
2019年02月07日
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