2016年02月24日

世界の果てのこどもたち 中脇初枝

世界の果てのこどもたち 中脇初枝  講談社
本屋大賞候補作も8作目。

高知県の貧しい山村。昭和初頭の貧困から抜け出すために満洲にやってきた一家の娘、珠子。満州という場所も知らないまま、彼女は朝鮮人の美子(ミジャ)と仲良くなる。そのころ恵まれた家庭で育った茉莉が満州に父親とやってきて出会うことになる。お互いが誰なのかも知らなかった幼い三人は洪水の中、避難した寺の中でおにぎりを分け合う。たったひとつのおにぎり。大半を疑問なくもらった茉莉。残ったおにぎりのうち、ほんのすこしを取った美子。その様子を見た珠子。三人は不思議な友情で結ばれる。
しかし終戦が訪れ、珠子は中国戦争孤児となり、美子は日本に渡るが朝鮮人であることで差別を受け、茉莉は横浜の空襲で家族を失い、三人は別々の人生を歩むことになる・・・。三人は再び巡りあうのか。そしてその時、何を思うのか。

生い立ちの違う三人は、それぞれの厳しい人生を辿ることになる。その人生は幸せとは言えないものだったに違いないが、単純に不幸であったと言えないと思う。その原因は戦争にあることに違いないが、誰にその責任を問うことも出来ないもどかしさがある。しかし、人生の終盤にさしかかった彼女たちの姿の美しいことに、ある種の感動を覚えるのは私だけだろうか。とにかく、著者魂心の1作に違いない。

この本に感動を受けたなら「流れる星は生きている」等にも手を伸ばすことをおすすめしたい。
posted by 灯台守 at 06:09| Comment(0) | TrackBack(0) |
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/174185271
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック