2016年02月11日

羊と鋼の森 宮下奈都

羊と鋼の森 宮下奈都 文藝春秋
題名で戸惑うが、ピアノの調律師のお話。つまり、羊(フェルトのハンマー)と鋼(ピアノ線)出来た森(ピアノ線)のお話ということで。この人の作品は初めて。

主人公の外村は、高校時代、体育館に置いてあったグランドピアノの調律に来た板鳥の仕事に吸い込まれるように魅入られ、自ら調律の世界に飛び込むことになる。ピアノを熱心に弾いていたわけでもなく、音楽が三度の飯よりすきという訳でもないが、少しずつ調律師として立ち上がっていく。一癖あるが優しい先輩の柳、双子の女子高生の関わりつつ展開していく、彼の成長物語である。

これと言った山があるわけでもなく、絶対的な悪人も出てこない。私達と同じような職場で何かの戸惑いを抱えつつ人生を歩き始めた主人公が辿る物語と言える。ほんの少しだけ、励ましがあるか無いか、ちょっとした勇気が持てる言葉が必要な人にはおすすめする佳作。ただし、バリバリのエンターテイメントを求める方には不向き。良い本ではあるんだけどね。「単純な良い本」だけに読者を選ぶのかもしれない。

posted by 灯台守 at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) |
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