2015年06月19日

月蝕島の魔物 田中芳樹

月蝕島の魔物 田中芳樹 東京創元社
遅筆の田中芳樹さんのヴィクトリア朝怪奇冒険譚、記念すべき最初の作品。
十九世紀の初頭、おりしもクリミア戦争がやっと集結した当時のお話から始まる。悲惨な戦争から命からがら帰還を果たしたエドモンド・ニーダムは、しっかり者の姪、メープルとともに大手の会員制貸本屋で働きはじめる。そして、大作家ディケンズと彼の家に居候している童話作家アンデルセンの対応を指示される。細君と微妙な関係であるディケンズ、自分の事も世話ができないアンデルセンにふりまわされるニーダム。そして、月蝕島(ルナ・イクリプス・アイランド)の沖で発見された、氷山に閉じこめられた謎の帆船を見に行くことになるが・・・

ショーロック・ホームズや切り裂きジャックのイメージで染まるヴィクトリア朝イギリスが田中さんは好きらしい。中でもディケンズはお気に入りとのこと。ヴィクトリア朝イギリスにかぎらず19世紀には冒険があったといえる時代でもある。その世界観の中での冒険活劇は、田中節満載で面白さ爆発でもある。
キャラクタも良い。中でも姪のメープルは飛び切りである。剣の腕はなかなかだが、今ひとつの叔父ニーダムを支えて七面六臂の活躍を見せてくれる。そして、ディケンズとアンデルセンという著名人を配して飽きさせないサービスぶりも楽しい。

ただし、田中さんの最大の欠点である「遅筆」は、このシリーズでも遺憾なく発揮され完結予定の3部は未だ執筆開始の声も聞かない・・・
posted by 灯台守 at 06:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー
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