2018年09月16日

薔薇の名前 <上・下> ウンベルト・エーコ

薔薇の名前 <上・下> ウンベルト・エーコ 東京創元社

たぶん十数年ぶりの再読。ミステリのフリをした哲学書だと思って読むと良いかもしれない。「100分で名著」の解説が丁寧で合わせて読むとグングン進むのが不思議ではある。ページを開けば中世の修道院に誘われ、ワトソン役であるアソドの独白に幻惑される。見事に異世界の感覚を味わいながら読み進む。

ミステリのネタや犯人自体は意外性なしだが、やっぱりそれだけではないのがミステリの面白さ、小説の醍醐味なんだろう。次々に発生する殺人、怪しい修道士、その最中に唐突に登場する異端審問官、謎の書物の存在する何人であれ出入りを拒む秘密の部屋等々が物語の奥行きと雰囲気を作り出す。難読なのは変わらないが、束の間、中世のイタリアの山中を垣間見せてくれる筆力は半端ない。さすが、エーコの代表作だろう。
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2018年09月08日

アルテミス(上・下) アンディ・ウィアー

アルテミス(上・下) (ハヤカワ文庫SF) アンディ・ウィアー

月面上の人工都市、アルテミス。月面上で育ったジャスミンはポーターとして生活費を稼いでいるが、知り合いの大金持ちから謎の依頼を受ける。その依頼は・・・ 前半では着地点が全く見えないまま下巻へ。後半戦に期待。

前半での月面状況学習が終わって、いよいよ加速される。月面の状況、真空、1/6の重力、アルテミスの環境を縦横無尽に活用する物語は疾走する。単なる化学SFとしても面白いが、背後にある経済の進化の話がなかなか説得力がある。さらに、そっと父娘の話が書き込まれていて、ちょっとうれしい。

謎の依頼の背景が、科学的に理解できて、その向こうにある真の目的にたどり着くと納得感はある。月という手が届く環境を上手く使い読者を引き込んでいる。さすが上手い。
posted by 灯台守 at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2018年09月05日

鍵のかかった部屋 貴志祐介

鍵のかかった部屋 (角川文庫) 貴志祐介

青砥純子&榎本径コンビ第三弾。今回も短編集。
・佇む男
・鍵のかかった部屋
・歪んだ箱
・密室劇場

シリアスで攻めたり、コミカルテイストの話もあったりする。密室の定義をハスから眺めたものや、真正面から取り組んだものもある。特に表題作の「鍵のかかった部屋」は、密室トリックとしては、かなりハイクラスな一編。美女と泥棒?のコンビネーションも優秀で、楽しく読み進む。今作も面白い保証付き。
posted by 灯台守 at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2018年09月04日

狐火の家 貴志祐介

狐火の家 (角川文庫) 貴志祐介

青砥純子&榎本径コンビ第二弾の短編集。

・狐火の家
・黒い牙
・盤端の迷宮
・犬のみぞ知る Dog knows

ぎりぎりを突く密室あり、コミカルなお話ありの4編の短編集。美人と探偵なら、ちょっと恋愛要素も絡むかとおもいきや、それぞれの個性が突き出ていて面白い。ちょっと無理無理な話もあるが、密室にこだわった一冊だろう。
posted by 灯台守 at 20:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2018年09月03日

硝子のハンマー  貴志祐介

硝子のハンマー (角川文庫) 貴志祐介

十二階建てのビルの最上階、社長室で殺された社長。監視カメラと秘書たちの目で封印された出入り口の中には、熟睡した専務のみ。その専務の弁護を受けた青砥純子はセキュリティ専門家の榎本径と共に密室の謎に挑む・・

密室ものミステリー。現代的な密室はこうあるべきなんだろうというガイド的な感じもある。青砥純子&榎本径のコンビデビュー作。前半の密室へのアプローチがなかなか読み応え十分な感じで良い。高層ビル、監視カメラ、暗証番号によるエレベータ制御、マスターキー等々のアイテムに加え、介護ロボットまで登場する。トリックの意外性や納得感は人それぞれの感じだと思うけど、主役二人の個性に読み進む感があったと思う。
posted by 灯台守 at 12:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ