2018年02月04日

騙し絵の牙 塩田 武士

騙し絵の牙 塩田 武士 KADOKAWA

本屋大賞候補作、5冊目。昨年は「罪の声」で大いに話題になった塩田さんの作品。大泉洋さんとのコラボ作品らしい。

速水は大手出版社に勤める編集者であり雑誌「トリニティ」の編集長である。出版界の苦境は例外なく彼担当のトリニティの売り上げにも現れていた。早期の黒字化を図らなければ廃刊になるとの危機感がある。その中で、同じ社の文芸月刊誌が廃刊になった・・・。非情な出版業界で戦う者たちを追う一冊。

まさに大泉洋とのコラボ作品。活字を追うごとに脳内では大泉洋主演の映画的に描写されていく。この作品が当たれば、映画化の時に彼以外の主役はいないとおもうくらいはまっている。(当たり前か)ストーリーも面白い。出版界の裏を知っている人も、知らない人も楽しめること請け合いである。(実態はこれより・・・以下自粛)

さらに、エピローグ以降も楽しませてくれる。一冊で三度おいしい「騙し絵の牙」。その意味は最後まで読むとわかります。
posted by 灯台守 at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) |

DESTINY 鎌倉ものがたり

「DESTINY 鎌倉ものがたり」は、西岸良平・原作の映画、これまた同じ原作の「三丁目の夕日」の監督である 山崎貴さんが監督。堺雅人、高畑充希が主役を務める。

舞台は鎌倉。鎌倉に住むミステリ作家・一色正和とアルバイトが縁で結婚した中村亜紀子は、いきなり家の前を駆け抜ける河童に遭遇するが、「鎌倉じゃ当たり前」という夫の言葉に唖然とする。そんな異界との接点である鎌倉にて、妖怪や魔物、果ては貧乏神とも遭遇する。そんな中、亜紀子は妖怪に転ばされ零体のみとなってしまい、体をなくしてしまう。そして黄泉の国へ行く羽目になる。その彼女を救いに正和は助けに行こうとするのだが・・・

奥さん奪還作戦のアクション映画と思いきや、それは最後の30程度。クライマックスではあるが、その前のちょっと変わった鎌倉の生活描写の方が10倍面白い。その中に描かれたなんとも言えないゆったりした時間の流れが鎌倉なのかもしれない。しかも各エピソードに出てくる役者さんの芸達者なこと。飲み屋の女将である薬師丸ひろ子や、御年142才?というお手伝いさんのキンさんを演ずる中村玉緒をはじめとする配役が見事。その数々のエピソードも重要な意味を持ちちゃんと回収されるのはお見事だった。

映画館で見る必要はないかもしれないが、DVDで見る分にはオススメになると思う一作。
posted by 灯台守 at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画

2018年02月02日

百貨の魔法 村山早紀

本屋大賞候補作、4冊目。

百貨の魔法 村山早紀 ポプラ社
昨年の候補作、「桜風堂書店ものがたり」と世界観を同じくするお話。

風早の街にある古いけれど街の人々に愛される百貨店といえば「星野百貨店」。その店を支える人々が語る百貨店とのお話。そこには伝説のように語られる金目銀目の白い子猫が・・・魔法のひとときに触れられる。

全五話。一話毎に人がいて百貨店とのかかわりの中、語られる心の内側がしみこむ。人生があって、そこにあたたかな百貨店があって、交錯する想いが転がっていく。でも、果てしなく優しい笑顔が見えてくるのは、やっぱり村山さんの作品らしい。

前作の世界と重なってさわやかで心温まる読後感があって、幸せに浸った。危機にある百貨店と、その行く手にある未来も、仕掛けの延長上にあるというサービスネタも盛り込んであってという一冊だった。

posted by 灯台守 at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) |

屍人荘の殺人 今村昌弘

本屋大賞候補作、候補作の中では3冊目。(2冊は既読)

屍人荘の殺人 今村昌弘 東京創元社
第27回鮎川哲也賞受賞作。選評はなかなか素晴らしい。実績もこれまた素晴らしい。
『このミステリーがすごい!2018年版』第1位
『週刊文春』ミステリーベスト第1位
『2018本格ミステリ・ベスト10』第1位

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねる。そこは、想像を絶する体験の場所だった・・・

「クローズド・サークル」つまり「吹雪の山荘」と驚愕の密室&奇想天外の殺人方法が登場する作品。出だしの学園ミステリサークルの雰囲気に惑わされてはいけない。そこから怒涛の攻めが始まる。たぶん、これまでこんな作品を作ろうと思ったミステリ作家はいなかったということははっきりしている。

今までのミステリファンの方がビックリ度は高いと思うが、満足度ははて?

posted by 灯台守 at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ