2017年02月01日

桜風堂ものがたり 村山早紀

桜風堂ものがたり 村山早紀 PHP研究所
本屋大賞候補作五作目です

月原一整は、大学時代からのアルバイトから始めた本屋を愛する書店員である。ある日、書店員としての仕事中に、万引きの少年を追いかけ結果的に事故に合わせてしまう。ネット上で批判された月原は、勤務先の書店に迷惑を賭けないように身を引く。そんな彼が唯一気になったのは、一冊の文庫本のこと。彼が売れると信じたその本を売れなかったことだった・・・

書店員が選ぶ売りたい本の大賞である本屋大賞の候補作にふさわしい一冊。
主人公の月原、勤務先だった書店店員、そして彼が勤めることになる小さな街の本屋である桜風堂書店オーナーのおじいさんと孫、その周辺の人達、誰をとっても良い人のお話である。もともと作者は童話作家であるしファンタジックな作風の方である。だからあんまり悪人は出てこない。みんないい人なのだ。そんなストーリー中で語られるのは本の魅力である。

大きな事件は万引きの事件程度。他にはあんまり起伏のない展開では有る。とりたててドキドキすることもない。ちょっと特殊な人が多いような気もする。しかし描かれる風景は優しく、ちょっとした描写がなぜか懐かしい。特に本屋の描写はそこに本屋があるかのように思えてくるのが嬉しい。つい最近まで駅前や商店街や街の中心部にあった「ちょっとした本屋さん」がそこにある。

便利になってネット検索で、クリック一つで、購入することになれてしまった人々。そんな私たちに「こういうのも良いよ」といっているような、そんな本だった。
posted by 灯台守 at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) |

コーヒーが冷めないうちに 川口俊和

コーヒーが冷めないうちに 川口俊和 サンマーク出版
本屋大賞候補作、四冊目です。

ある都市伝説が語る喫茶店。その喫茶店ではある条件で過去に戻れるという。ただし、過去は変わらないし、動けば元に戻る。その店に来たことの無い人には会えない。そして特定の席に座る必要があるが、そこには必ず先客がいる・・・ その条件をクリアした四人の話。

設定の勝利と言える話だろう。過去に戻る設定が素晴らしい。しかも先客の扱いも上手い。ただ、4つのお話のうち1つは映画化されたお話のキモと同じだし、リサーチ不足の話もある。まあ、その分を差し引いても話としては上手いストーリーテラーとも言える。優しく読めるのでこの手の話を読み慣れていない方にはオススメ。
posted by 灯台守 at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) |