2016年02月21日

教団X 中村文則

教団X 中村文則 集英社
本屋大賞候補作7冊目。600ページ近い大作。まあ、ファンタジーなら「普通の分量」なのだけど、ストーリーらしきものが希薄で苦労した。

楢崎は、図書館で出会った立花に惹かれたが、当の彼女は姿を消す。その後、彼女はある宗教団体に関わっているとの情報を得たが、その宗教団体の所在地に関わる情報は皆無だった。彼女の行方を探るべく、彼はとある団体の集会に参加することになるが・・・

主人公がはっきりしないまま、楢崎と、彼が追う立花、最初に訪れた団体の主催者・松尾、その団体の峰野、あやしい宗教団体の教祖・沢渡、その教団の幹部・高原・・・と、登場人物が入れ替わり立ち代り「あーでもないこーでもない」という主張を繰り広げていく。

宗教論から生死の意味合い、仏教論や宇宙の成り立ちまで、諸説が繰り広げられる。その中で登場人物の数人の想いが最後に集約され結論らしきものにたどり着く。

冒頭に書いたように、主人公が設定されていない(強いて言えば楢崎?)ため、若干読みにくい。しかし、松尾や沢渡の主張、高原の人生などはなかなかどうして面白い。その人それぞれの読み方のある一冊。Amazonの評価も★1つから5つまで見事に分かれているという珍しい状況だった。
posted by 灯台守 at 08:45| Comment(0) | TrackBack(0) |