2015年07月09日

開かせていただき光栄です 皆川博子

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―  皆川博子 ハヤカワ文庫

記録モレを書いておきます。

18世紀のロンドン。犯罪捜査する警察も科学捜査も未熟だったころのお話。解剖学教室を運営する外科医ダニエル先生の教室に運び込まれた遺体。墓泥棒から購入した妊娠六ヶ月のそれは準男爵の娘だった。突然の保安判事部下査察に対し遺体を隠した。しかし隠したはずの遺体は若い妊婦から四肢が切り取られた少年になっていた。その上、顔を潰された男の遺体まで出現する・・・

なんとも魅力的な謎の設定から始まり、詩人志望の少年の回想シーンをはさみつつ物語は進む。遺体の消失などは普通のトリックであり、ミステリ読みなら驚くものでもないが、その物語性、キャラクタの設定はさすがのストーリーテラーである。特に解剖医のダニエル先生とその弟子たちのユニークさ、盲目の判事であるジョン・フィールディングと姪のアンの探偵ぶりは楽しませてくれる。

ミステリと古き良き(?)ロンドン好きなら一読をオススメする。御年80歳を迎える皆川博子さんの素晴らしさに乾杯である。
posted by 灯台守 at 05:48| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ