2015年05月15日

一瞬の風になれ 佐藤多佳子 再読その2

一瞬の風になれ 佐藤多佳子 講談社文庫
読書会のための再読シリーズ。後半とまとめのお話。特に続編について。
http://l-h-keeper.sblo.jp/article/130076901.html
上記の続き。

じっくり読み直すと、なかなかリアリティに富む内容であることが分かる。新二のタイムの伸びや春高陸上部の状況もよく考えての描写だろう。それぞれのシーズンの順位や、蓮のトラブルからの立ち直り。その連が味わった苦悩を後輩の鍵山が同様に味わす様子などは、息が詰まる思いで読み進む。

春高のポジションもリアルではある。公立高校で、そこそこの位置取りの陸上部なので、そうそうビュンビュンインターハイには出場出来るわけでもなく、結果は読んでの通り。

このエンディングが嫌いな人は嫌いだろう。続編を希望する人は存在するし、有る意味正しいかもしれない。でも佐藤多佳子さんの考えは「あとは読者にお任せ」だと思う。白百合の「黄色い目の魚」の時に個人的に聞いてみた。きっぱりした回答だった。「ありません」と。

そうか、著者は物語の世界を読者に託したのだなぁ・・・と考えることにした。新二と若菜ちゃんの後日談や連との「かけっこ」のその後も想像していいのだ。後日談が提示されないということは、何でも有りなのだ。

今も、頭の中に蓮と新二が四継を走る姿が浮かぶ。幸せな感覚である・・・
物語のバトンは私達に渡されたのだ。
posted by 灯台守 at 05:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤングアダルト