2015年05月22日

観音妖女 十時半睡事件帖 白石一郎

観音妖女 十時半睡事件帖 白石一郎 講談社文庫
ご存知、十時半睡事件帖第二弾。
・老狂恋道行
・逃げる女
・奉行たちの宴
・観音妖女
・奇妙な仇討
・女たらし
・枕絵ざむらい
・お蔵番
以上、八編。やはり表題作の「観音妖女」は見事。辰之助の妻のお珠はちょっと頼りないような童女ではあるが、その文才は一つ抜け出た所があった。その才能の裏側にあったのは、盗癖だった。本人はまったく罪の意識もなく「欲しいから持って帰った」という。才能を愛するがゆえに、離縁を言い渡せないこの夫婦の行く末は・・・

この話以外にも、十時半睡の暖かな視点がなんとも言えない。話によっては落語の味わいもある。シリーズ完読しそうな予感。(笑)
posted by 灯台守 at 06:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代物

2015年05月21日

庖丁ざむらい 十時半睡事件帖 白石一郎

庖丁ざむらい 十時半睡事件帖 白石一郎 講談社文庫
久方ぶりの再読。十年ぶりくらいかも。古書店でシリーズ一括の入手だが、Amazonで調べると品切れ状態だった。もったいない・・・。

九州・黒田藩では十人目付け制度を導入した。十時半睡はすでに隠居の身だったが、藩の強い要望を受けそのまとめ役を引き受けた。その目付け役に持ち込まれる藩のあれこれを裁く姿を描く。

大岡裁きでもなく、捕物帳のような謎解きも無い。あるのは武士のあるがままの生活である。白石一郎さんの視点は、いままでの武士のイメージではなく、人間として彼らを描いている。

全十一編。武士の悲喜交々の模様を描く。
posted by 灯台守 at 05:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代物

2015年05月20日

ガール 奥田英朗

ガール 奥田英朗 講談社文庫
奥田節が冴えるアラサー女子のお話。
ヒロくん
マンション
ガール
ワーキング・マザー
ひと回り
読む人からすると「何故こんなに女心を知っている?」となるらしい。一方で「おじさんの妄想」との声もある。女性の活躍が拡大している日本だが、まだまだ十分とは言えない状況だし、どう考えても男社会だろう。その中で、奮闘する女性の描写は賛否両論合ってしかるべき。
五話全てエンディングは心地よい。しかし、現実は甘くない。それでも前を向いて進む女性諸氏への応援歌ととらえるか、オヤジの妄想ととらえるか、読者に任されている。
posted by 灯台守 at 05:27| Comment(0) | TrackBack(0) |

2015年05月18日

クラブ・ポワブリエール 森福都

クラブ・ポワブリエール 森福都 徳間文庫
森福さんのラブ・ミステリとあって、期待したけど、ちょっと肌に合わなかった。

夫が帰宅すると、妻はいなかった。あわてて出ていった様子が伺えてパソコンは電源が入ってソフトは立ち上がったままだった。何処に行ったか分からない妻と、不思議な5つのメールに添付されたお話・・・
いったい何故妻は出て行ったのか。何処にいるのか。夫は、その5つの話を読み始めた。

謎は面白いが、解決案は今ひとつだった。あまりにも人間臭いというか・・・。ちょっとハズされた感じ。残念。
posted by 灯台守 at 19:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2015年05月16日

桂三金 独演会 〜三金の日 ファイナル〜 at テイジンホール

桂三金 独演会 〜三金の日 ファイナル〜 at テイジンホール
2015年5月16日は桂三金さんの独演会に行ってきました。昨年から継続しているという三金の日。演目は下記の通り。

熱援家族(作:三枝) 桂三実
温度差(作:三金)  桂三金
恋はまったなし(作:文枝)  桂三金
世界ふしぎ体験!(作:文枝) 桂文枝
仲入り
はてなの茶碗  桂三金

三実くんは22歳の入門3年めの若手・・・というか私の娘とタメかい!という感じ。文枝さんの前座も務めてました。以前の延陽伯よりもこちらの方が数段良い。さすがに現代っ子。
で、やっぱりお師匠さんは別格。おじいさんが自分の生前葬を行うというので、息子・孫を巻き込んでのドタバタを描くお話。この手の噺をさせると、文枝さんの独壇場です。

三金さんは、何度か繁昌亭でお噺を聞いていますが、鉄板のデブネタのまくらは面白いです。わかっていても笑ってしまいます。今回は自作と師匠の創作落語を2席、古典を一席でした。自作の創作は、なかなか良かったです。まだまだブラッシュアップ出来ますね。「恋は・・」は、相撲が絡むので有利な演目かもしれません。案外良かったのが「はてなの茶碗」。続ければ、油屋さんの性格付けが出来てもっとメリハリが生まれるでしょう。ネタおろしの三作を聞いていて、来てよかったと思える独演会でした。

補足:ホールでお見送りして頂いた時に握手をさせて頂いたのですが、体型に似合わない?ふんわりした柔らかい握手でした。
posted by 灯台守 at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 落語

2015年05月15日

一瞬の風になれ 佐藤多佳子 再読その2

一瞬の風になれ 佐藤多佳子 講談社文庫
読書会のための再読シリーズ。後半とまとめのお話。特に続編について。
http://l-h-keeper.sblo.jp/article/130076901.html
上記の続き。

じっくり読み直すと、なかなかリアリティに富む内容であることが分かる。新二のタイムの伸びや春高陸上部の状況もよく考えての描写だろう。それぞれのシーズンの順位や、蓮のトラブルからの立ち直り。その連が味わった苦悩を後輩の鍵山が同様に味わす様子などは、息が詰まる思いで読み進む。

春高のポジションもリアルではある。公立高校で、そこそこの位置取りの陸上部なので、そうそうビュンビュンインターハイには出場出来るわけでもなく、結果は読んでの通り。

このエンディングが嫌いな人は嫌いだろう。続編を希望する人は存在するし、有る意味正しいかもしれない。でも佐藤多佳子さんの考えは「あとは読者にお任せ」だと思う。白百合の「黄色い目の魚」の時に個人的に聞いてみた。きっぱりした回答だった。「ありません」と。

そうか、著者は物語の世界を読者に託したのだなぁ・・・と考えることにした。新二と若菜ちゃんの後日談や連との「かけっこ」のその後も想像していいのだ。後日談が提示されないということは、何でも有りなのだ。

今も、頭の中に蓮と新二が四継を走る姿が浮かぶ。幸せな感覚である・・・
物語のバトンは私達に渡されたのだ。
posted by 灯台守 at 05:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤングアダルト

2015年05月14日

一瞬の風になれ 佐藤多佳子 再読その1

一瞬の風になれ 佐藤多佳子 講談社文庫
読書会のための再読シリーズ。以前のレビューはこちら

http://l-h-keeper.sblo.jp/article/44261439.html

この時、すでに貸出の旅にでていたんだなぁ・・・と思い出す。

主人公、神谷新二と親友一ノ瀬蓮を中心に高校三年間を描くスポーツと青春の物語。もちろんこの二人は良いが、周りのキャラクタも捨てがたい。みっちゃんこと三輪先生、筋肉オタクの桃内、クールな守屋先輩、だんだん良い雰囲気になっていく谷口若菜ちゃんも外せない。

久々に読み直すと、いかに丁寧にキャラクタ描写されているか分かる。特に谷口若菜の描写は逸品。

現在、3巻も後半。嬉しい瞬間が近づいてくる。
posted by 灯台守 at 05:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤングアダルト