2015年04月03日

魔道師の月 乾石智子

魔道師の月 乾石智子 創元推理文庫
乾石智子の処女作である「夜の写本師」の世界であるオーリエラントが舞台。
それほどの魔導師ではないが皇帝の甥に気に入られた魔道師レイサンダー。ある日、献上された円筒状の物に禍々しいモノを感じ逃げ出してしまう。その魔道師レイサンダーに間違えられたのは、書物の魔道師キアルス。彼は本を介した魔法を編み出していた。
闇を抱えた「暗樹」を闇をもたぬ稀有な魔道師レイサンダー、書物の魔道師キアルスがその身に替えて制圧する話。

なにしろ、話中話が良い。話中話の良いファンタジーは名作という原則は不変であるようだ。「暗樹」を巡る話もなかなか素晴らしいが、キアリスが入り込むタペストリーの世界の話もそれだけで一遍のファンタジー小説を編める。その中に、人生が有り、不思議が有り、異世界が立ち上がってくる。

書物の魔術師、キアルスが本の魔法を立ち上げる状況や、レイサンダーがさすらう状況描写も捨てがたい。さらに嬉しいのが解説が名解説である。「闇」を語る妹尾ゆふ子の解説も本書の世界を語る地図のようで魅力的である。
posted by 灯台守 at 19:48| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー