2015年02月08日

楽園のカンヴァス 原田マハ

楽園のカンヴァス 原田マハ 新潮文庫

ニューヨーク近代美術館(MoMA)の学芸員ティム・ブラウンは、ボスのトム・ブラウン宛に来たと思われるが、宛名はティムになっている不可解な招待状を受け取る。幻の絵画コレクターからの依頼を受けて、旅だった彼を待ち受けていたのは日本人の絵画研究家である早川織江であった。
MoMAにあるルソーの「夢」とそっくりな構図の「夢をみた」の真贋鑑定を依頼される二人。しかも、一冊の物語を読んで判断して欲しいとの条件で。
果たしてその絵画は本物なのか、幻のコレクターの意図は何処にあるのか。そして勝負の行方は。

冒頭は、現代の早川織江の話から始まる。彼女にもたらされた以外な依頼。その章の次には、ティムの話が始まり、物語のほとんどはティムの視点から描かれる。なんとも心憎い構成で、ぐいぐい引き込まれるストーリーはさすがである。ルソーとピカソ、1900年代冒頭の豊熟したパリの香りを漂わせつつ緊張の糸は張り詰められたまま、エンディングへなだれ込む書きっぷりは見事としか言いようが無い。

絵画好きな方には無条件でおすすめの絵画ミステリー。読後感は本当に爽やかである。
posted by 灯台守 at 09:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ