2014年07月31日

金春屋ゴメス 西條奈加

金春屋ゴメス 西條奈加 新潮文庫
第17回ファンタジーノベル大賞受賞作にして西條さんのデビュー作。
近未来の日本には江戸を模倣した独立国があった。「江戸」と呼ばれるそこは、北関東にありながら江戸城を模した城があり、徳川将軍が立ち、江戸の都市を再構築した不思議な場所である。そこでは電気もなく車も電車も無い。江戸時代をそのまま現代へ移している。月にも移住している時代でありながら、江戸を再現していた。

辰之助は江戸で生まれたが両親の事情で5歳の時に日本に出国したが、死に瀕した父親のたっての願いで江戸に戻る。しかし、江戸への入国は300倍の競争率。おまけに一度出国したら二度とは帰れないという。辰之助が江戸には入れたのはそれなりの理由があった・・・。

まず、設定が素晴らしい。月にも移住する近未来にもかかわらず、江戸が独立国家として日本内にある。おまけに鎖国制度をとっている。そこに発生する事件を縦糸に主人公:辰之助のかかわりがキャラの立った登場人物が織り成す横糸をもって、不思議な模様が出来上がっていく。

そして題名となっている金春屋ゴメス。このゴメスは登場人部だが、なかなか破壊力抜群である。そのパワーと個性は並ぶものが無い。

一気に読めること保証付き。世界観が抜群の傑作ファンタジー
posted by 灯台守 at 06:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー

2014年07月30日

第二段階レンズマン―レンズマン・シリーズ<3>  E.E.スミス

第二段階レンズマン―レンズマン・シリーズ<3>  E.E.スミス 創元推理文庫
おなじみシリーズ第三弾。銀河パトロールの戦力を集中し、ボスコーンの本拠地を撃滅したキニスン。しかし、勝利の喜びもつかのま、敵は超空間チューブを通って地球に大攻撃を掛けてくる。
再び敵の追及にかかったキニスンは、奇妙な女性支配惑星を発見するが・・・。

大団円の三部完結編。

女性だけの(と見える)星の話から始まり、恋人クリスのレンズマン就任を経て宿敵ボスコーンの真のボスを追い詰め仕留めるまでの話。最後に結婚式の話がくっついているのがご愛嬌ではある。今から80年近い昔に書かれたレンズマンシリーズだが、三作目となるこの本もアイデアに満ちている。ご都合主義も辻褄が合わない箇所もあるかと思うが、それはそれ。スペースオペラの古典的名作として、新訳を祝して、まずは読了としたい。
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2014年07月29日

本屋さんのダイアナ 柚木麻子

本屋さんのダイアナ 柚木麻子 新潮社
ダイアナは自分の名前がキライだった。外人でもないのに、この名前で、「大穴」と書いてダイアナと読ませること自体恥ずかしくてたまらない。母親は歌舞伎町のキャバクラに勤めるティアラ。16歳で彼女を生んだ母はまるでヤンキーのようであり、自分とは相容れない。ただひとつの楽しみは本を読むこと。そんなダイアナに出来た親友の彩子も本好きのまじめな子。両親も良質を目指し華美を好まない。父を知らないダイアナには理想の親子だった。

ダイアナと彩子の20年近い時間の流れを交互に書き記して行く。時折登場する本の名前がうれしい。「ぐりとぐら」から「父の詫び状」向田邦子、「嵐が丘」まで多種多様である。時の流れに人生を踏み出す二人の少女はやがて容赦ない世間という激流に一歩踏み出す。それぞれの両親という枠を乗り越えて。

好対照の二人は不思議な縁で結ばれている。ご都合主義かもしれないが、それなりの説得力を持って迫ってくる。女性の強さと弱さを淡々と語っている。しかし、男性陣は印象薄いなぁ。なんともはや。まあ、両ヒロインが魅力的で一気に一日で読了。
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2014年07月27日

Godzilla(2014版)

Godzilla(2014版)
ギャレス・エドワーズ監督作品。アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙ほか。

ゴジラのリブート。かなり54年版に近い感じであるが、フルCGはなかなか。前回のハリウッド版のトカゲのお化け版に比べるとかなり良い。

物語から15年前。フィリピン沖で巨大な生物の化石が発見され、化石化したと思われる卵と孵化したばかりの生物の痕跡が発見された。その生物は、日本に向かい原子力発電所を襲う。政府と電力会社は地震として立ち入り禁止区域とした。
そして15年後、妻を失った原子力発電所の技師が「何かを隠している。あれは地震ではない」と考え、成長し軍に所属する息子と立ち入り禁止区域に侵入するが、そこに居たのは放射線をエネルギーとして吸収する巨大生物だった・・・。

ゴジラ登場までの過程や適役怪獣の「ムートー」、渡辺謙が演じるMONARCH等のアイデアはなかなか良い。でも収め方はいまひとつ。でも渡辺謙演ずる「芹沢猪四郎」という名前で全部許せる! ゴジラは永遠のモンスターたる貫禄を示した映画として考えたい。
posted by 灯台守 at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画

2014年07月23日

グレー・レンズマン レンズマン・シリーズ〈2〉E.E.スミス

グレー・レンズマン レンズマン・シリーズ〈2〉E.E.スミス 創元推理文庫

シリーズ2作目。

前作で壊滅したのは銀河系のボスコニアだった。壊滅寸前、通信ビームがはるかかなたに発信される。その先は他のの銀河、彼らの本拠地は銀河系の隣の第二銀河系にあるらしい。独立レンズマン、キニスンはグレー・レンズマンとして宿敵を叩く!

なんだか筋はあるようでない。単に敵を最終的に叩き潰すだけなんだが、それまでのエピソードが荒唐無稽。余計な装飾は一切なく、理論的にはありそうでなさそうな、でもそれらしい理論武装された最終兵器が登場したりするのは、ご愛嬌。なんせ1930年代の作品。時代背景を考えると空恐ろしい空想力である。
posted by 灯台守 at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2014年07月21日

銀河パトロール隊 レンズマン・シリーズ〈1〉

銀河パトロール隊 レンズマン・シリーズ〈1〉E.E.スミス

スペースオペラの金字塔。レンズマンシリーズ。中学生のころにチャレンジして費えた記憶がある。今は、新訳で堪能できる。

人類が銀河系に進出している未来。その多様な複数の太陽系を束ね治安を維持する部隊は、銀河パトロールとして活動していた。かれらのうち、ある条件を満たしたものははるかアリシア人からレンズを授けられ、特殊な能力を発動できる。

かれらの平安を乱すのは宇宙海賊であるボスコーン。どこから来て、どこが司令部かもわからない。地球の最高基地・銀河パトロール養成所を最高成績で卒業したキムボール・K・キニスンの最初の戦いからボスコーン基地との決戦までを描く。

まあ、この年齢になって読むと時代の変遷を感じ取れる。古い・・・。男性社会だし。女性のレンズマンは非常に限定されるし。でも、この発想力、アイデア、つぎからつぎへのドラマチックな展開は素晴らしい。

やっぱり時代を経て残る作品は、なにかを持っている。
posted by 灯台守 at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2014年07月20日

思い出のマーニー

思い出のマーニーは、いわずもがなのジブリ作品。「借り暮らしのアリエッティ」の米林監督作品。
もともとはジョーン・ロビンソン作の名作児童文学だが、舞台を北海道に移し描いた。

杏奈は、札幌で養父母に育てられる12歳。自分の居場所と自分自身に不安を抱き、喘息も良くならず転地療養を勧められ、養父母の縁故から釧路の知り合いの元で夏休みを送ることになる。そこでスケッチをしていた時、湿地の向こうに佇む屋敷に不思議な女の子と出会う・・・。

日本の北海道に舞台を移したことで、あの「オチ」をどう表現するか、風車小屋をどうするか不安だったがうまく描いていた。一安心。すんなり受け入れられる。
映像は美しい。北海道の釧路の湿原地帯が美しく展開する。美術監督は実写映画でも実力発揮の種田陽平さん。こだわりの室内、家具、壁紙やベットカバーに至るまで映画のワンシーンではもったいないものがスクリーンを通り過ぎていく。

夏休みに家族で見に行くのは良いジブリ映画でしょう。
posted by 灯台守 at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画