2014年05月31日

レフトスタンド 佐藤多佳子

レフトスタンド 佐藤多佳子 現代小説 5月号
久方ぶりの佐藤さんのお話を読んだ。そのために現代小説の5月号を購入。吉川英治文学賞受賞作家の掌編特集ということで佐藤さんが登場しました。

時代は1984年。高校生の俺は囲碁部で活動していた。部員はわずか3人。顧問の先生は囲碁がまったくわからないサナコウこと真田公吉先生。その先生がなぜか誘ってきた。「野球を見に行きませんか」

当時の横浜ホエールズとヤクルトスワローズの試合を見に行った状況を淡々と描く短いお話だが、サナコウと呼ばれる先生の人柄が浮かび上がる。

ホントに短い文字通り掌編だが、妙に後に残るお話。レフトスタンドで野球に浸るファンの姿が眼に浮かぶ一編である。
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2014年05月29日

縫合 上田秀人

縫合 〜表御番医診療禄2〜 上田秀人 角川文庫
「切開」に続くお話。堀田筑前守が刃傷にて殺された件を探る矢切。その周辺でうごめき彼を亡き者としようと暗躍する者たち。綱吉の考えと、それを支える者たちはいかに。

祐筆シリーズや勘定目付シリーズとはっきり違うのは、女性とのかかわり方である。矢切の場合、お世辞にも奥方とはドライである。まあ、押し付けられた・・・という方が的確な関係ではある。今後のお話がどうなるか、剣の冴えで切り抜けた矢切であるが、次巻は医によるのか。

さて、じっくり拝見と行こう。
posted by 灯台守 at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代物

2014年05月28日

切開 上田秀人

切開 〜表御番医診療禄1〜 上田秀人 角川文庫
歯科医である上田さんが描く江戸幕府内の医者がかかわるお話。

五代将軍綱吉の時代、表御番医として勤める矢切良衛。おりしも、大老・堀田筑前守が若年寄・稲葉石見守に切り付けられた。切りつけた稲葉石見守はその場で切られ死亡する。一方の堀田筑前守も死亡する。
その状況に不審感を抱く矢切。そんな矢切が真相を探るうち、堀田家を訪問した後、何者かに襲われる・・・

江戸幕府における謎のひとつ、堀田筑前守の刃傷事件をきっかけにして医療と武家の姿を描く。
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2014年05月26日

いつもが消えた日 西條奈加

いつもが消えた日 西條奈加 創元社
お蔦さんの神楽坂日記の続編。こちらは長編である。

望がクラスの人気者・彰彦とその後輩・有斗、幼なじみの洋平とで夕飯を食べた後、有斗を神楽坂にある彼の家に送りに行った。が、その直後、彼は飛び出してきた。「誰もいない!それに部屋が血まみれ・・・」と叫んだ。

彼の家に何があったのか、なぜ家族は消えたのか。生きるために成す事とお金にまつわる人生が有斗の家族に降りかかる。

かなり酷な話だが、なぜか人情の温かみを感じる話。神楽坂という下町がその想いを支えているのかもしてない。

このシリーズ、望くんの料理もおいしそう。続編を期待。
posted by 灯台守 at 18:56| Comment(0) | TrackBack(0) |

2014年05月25日

無花果の実のなるころに 西條奈加

無花果の実のなるころに 西條奈加 創元推理文庫

サブタイトルが「お蔦さんの神楽坂日記」となっている。

神楽坂にある和モノの履物店に住む、滝本望(ノゾム)と彼のおばあちゃんの滝本津多代、通称 お蔦さんが遭遇する日常の事件を連作で語るお話。

主人公の望は中学二年生。両親は札幌に転勤。彼だけ残ったのは、学校の都合とお蔦さんのため。滝本家は代々男子が台所で包丁を握るのが当たりで、お蔦さんの食事の世話のために残った・・・。

ちょっとしたトラブルや事件を軸に物語は進んでいくが、お蔦さんの経験と知恵が解きほぐす。


連絡の短編集だが、続編もある。(そちは長編)
posted by 灯台守 at 18:59| Comment(0) | TrackBack(0) |

2014年05月16日

All You Need Is Kill 桜坂洋

All You Need Is Kill 桜坂洋 スーパーダッシュ文庫
桜坂洋の出世作。トム・クルーズが実写映画化されたこの作品の主人公を演じる。

キリヤ・ケイジは初年兵。ギタイと呼ばれる未知の生物に襲われる地球で防衛隊として初出陣するが、無残にも散ってしまうが、気がつくと出撃前々日に戻っていた。そして果てしない出撃しては散るというループの世界に突入する。

SFではありがちな時間ループものだが、その意味付けや解釈は難しい。読者が納得するかどうかが肝心。

ループする理由とそこから抜け出そうとするケイジ。そしてお約束のヒロイン、リタとの関係が決定的な最終点・ループエンドに向かって疾走する。

筒井康隆が絶賛したというが、わかる気がする。若書きで、こなれた感じはしないが、そのパワーと疾走感は、評価されるべきである。リプレイの横に並べたいと思う一作。
posted by 灯台守 at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) |

2014年05月15日

椋鳩十まるごと名犬物語

椋鳩十まるごと名犬物語 椋鳩十 フォア文庫
もともとは理論社の本の新書化である。収録は下記の通り。

・犬塚
・名犬(佐々木さんの話)
・黒ものがたり
・アルプスの猛犬
・太郎とクロ

「太郎とクロ」は自宅に単行本があった。繰り返し読んだことを覚えている。もう45年も前の話になるか・・・。

今は、このような話を書く人もいないし、売れないのだろう。椋鳩十賞も中止されるかもしれないとの話も聞いた。

寂しい限り。
posted by 灯台守 at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) |