2012年10月18日

小説中の戦いについて

上田秀人さんの「奥右筆秘帳シリーズ」を読み進めていて、思ったことがある。やはり時代ものは特定分野においては非常にリアルである。主人公の一人、柊衛悟は剣の達人ではあるが、よくある「超名人」では無い。敵方の忍び崩れの冥府防人に対して、まったく歯が立たない。それどころか、真剣でのやり取りにパニックを起こしかけたりする。また、相手にしても「人を切ったことが無い」武士の行動をリアルに書き綴っている。「頭を切るには刃筋をあわせろ。さもないと滑ってしまい、致命傷にならない」とか「傷を受けると消耗し、やがては負ける。そういう時には逃げろ」とか、師匠のアドバイスも真に迫っている。

思えば、ファンタジーの魔法も同じこと。リアルな魔法は、ちょいちょいと呪文をかけて終了だが、リアルな魔法は、単純なものではなく、それに釣りあったものを消耗しているのだ。そして、読者が納得できるような描写もしている。

たかが戦いのシーン。でもその戦いが真に迫っているか、おざなりか、読者の想いはその内容で分岐する。
posted by 灯台守 at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | あれこれ