2012年06月21日

ヴァルデマール年代記 M.ラッキー

久方ぶりに「当たり」の作家さんとシリーズを引き当てた感じなので、まずは本を確保することにした。創元の文庫は品切れも多く入手難になることも多い。と思ったら、最初の三部作「ヴァルデマールの風」第三部の下巻が品切れ状態。さすがにアマゾンの中古はある! でも一冊2000円以上。

とりあえず、そこまでの5巻を注文していたら、なんと増刷されて新刊で入手可能になった。こういうこともあるんだねぇ。
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2012年06月20日

エイリアン秘宝街 菊池秀行

エイリアン秘宝街 菊池秀行 朝日ソノラマ
なつかしの「朝日ソノラマ文庫」がオリジナル。今は入手すら出来ない状態。しかし2作合本の新書版があって問題はなし。おまけで書き下ろし短編もある。(というか、これで買わせる作戦。解りやすい)

主人公は八頭大。18歳の高校生。職業:トレジャーハンター。代々続く宝探しで得た財産は莫大。その財力をフルに活用し、その装備は軍隊並み。最新の科学兵器を駆使して宝探しを遂行する。相棒の太宰ゆきと正体不明の敵に遭遇する。

と、いうか全編ハチャメチャではあるし、或る意味トンデモ本的な部分もある。高校生が一国の総理を自由にし、軍隊レベルの重火器を使い、金ですべてを解決するというもの。ヨガを駆使し、格闘技もスーパーマン級である。でも、絶妙のバランス感覚がこの人の持ち味。美的センスはあるし、出現する怪物・モンスターも、一筋縄では行かない描写が続く。まさに映像を見せてくれるSF作家である。

久方ぶりに読み始めたが、止まらなかった。さすが伝奇SFの菊池秀行である。
posted by 灯台守 at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) |

2012年06月19日

脳男 首藤瓜於

脳男 首藤瓜於 講談社文庫
デビュー作で、江戸川乱歩賞受賞作品。

警部の茶屋は連続爆弾犯を追っている中、犯人のアジトを見つけ踏み込む。そこにいたのは容疑者の緑川と一人の男だった。緑川の爆弾から、その男にあやうく助けられた茶屋。しかし、緑川は逃走しその男は爆弾犯の共犯者として捕らえられる。しかし、彼はどこか異様であった。そして裁判所から精神分析鑑定指示が出される。彼は、感情の無い人間だった・・・

ミステリーは謎の設定が魅力の9割を占める。そういう点では、この作品は星5つである。最後まで、その謎で引っ張っていく。登場人物の造形もよい。警部の茶屋、精神科医の鷲谷真梨子、そして脳男の鈴木一郎。なかなかではある。

しかしながら、幕引きがマズイ。消化不良であるので、なんか残念で仕方がない。そう思わせるほど謎の内容はすばらしく、最後まで飽きさせないストーリーは見事で、乱歩賞選考委員全員一致というのもうなずける。

ちなみに、映画化されるらしい。2013年2月公開予定。生田斗真主演。
posted by 灯台守 at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2012年06月17日

幸せへのキセキ

「幸せへのキセキ」はキャメロン・クロウ監督作品。主演は、動物園を買い取るベンジャミン・ミーにマット・デイモン、飼育員ケリーにスカーレット・ヨハンソン。そしてベンジャミンの娘にマギー・エリザベス・ジョーンズ・・・彼女が反則技で可愛すぎ。動物と子供には勝てない原則技を繰り出す映画である。

冒険ものの取材で名をはせた記者・ベンジャミンは、妻を病気で亡くし失意のどん底にいる。息子とのコミュニケーションも取れず、家を引っ越すことにする。そして娘のロージーが選んだ引越し先こそ、元動物園だった。危機に瀕する動物園を再生するべく彼は奮闘するが・・・

亡き妻への想いや、息子との葛藤、動物園再生のための資金難などがお約束の通りに描かれる。カメラワークはうまく、動物たちの息遣いを伝えてくれ、リアリティを損なわない。また、娘・ロージーを演ずるマギー・エリザベスは、さすがハリウッド映画に選抜されるだけあって、その演技は名演。ラストシーン近くの動物園の制服を着て孔雀の説明をする彼女は見事。

ラストも一工夫したまとめ方で、キーワードは“Why not?” 字幕では「いけない?」という言い方になっていたが、なかなかスパイスの効いたほろりとさせてくれるラストだった。

吹き替えなら家族で楽しめる。字幕でもなんとかOKかな?
posted by 灯台守 at 18:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画

2012年06月16日

マーセデス・ラッキーのヴァルデマール年代記

マーセデス・ラッキーの作品をこれから読もうとする方へ

彼女の公式WEBを覗くと、「ドイツ製の車」の話がいきなり登場する。著書には「マーセデス・ラッキー」となっているが、この苗字は「メルセデス」と言ったほうが、日本人には解りやすい。メルセデス・ベンツを検索してたどり着く人が多いに違いない。

私が非常に幸運だったのは、最初に遭遇した作品が「女神の誓い」だったということ。著者自身も、一連の話がヴァルデマール年代記になると思っていたかどうかわからないが、主人公の二人が非常に魅力的であったことはたしかである。いわゆる「剣と魔法」のファンタジーだが、剣も魔法も、その描写はかなりリアリティがあり、便利に使いこなせるスーパーヒロインという設定ではない。実際、彼女たちは疲れもするし愚痴も言うし歳もとる。生理現象に悪態もつく。「正義だけでは食っていけない」という主張もあるし、魔法の剣である<もとめ>を罵倒することもある。ファンタジーによくあるご都合主義のみで構成されているのとは違うリアリティが充満しているのである。

また、一冊目の「女神の誓い」が長編でありながら、短い話の集合体であること、二冊目の「裁きの門」が長編であることが、ヴァルデマールの世界観理解のハードルを下げている。この年代記の中心であるヴァルデマールから始まるのではなく、平原のタレ=セイドゥリン一族虐殺から始まる手法はすばらしい。

続く「誓いのとき」は純粋な短編集であり、続編的な「運命の剣」がケスリーの孫のケロウィンが主役の長編であることで、その世界が徐々にわかっている様は、感動的でさえある。ここまでくれば(読めば?)ハマルこと請け合い。

出版社が2社に分かれていてイラストが違っていたり、三部作でひとつの塊であるが、出版ペースが若干違うことなど、残念な部分もある。でも、着実に著作は出ているので当分楽しめそう。オススメのシリーズに間違いない。
posted by 灯台守 at 17:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー

2012年06月14日

運命の剣 下 マーセデス・ラッキー

運命の剣 下 マーセデス・ラッキー 創元推理文庫
主人公は、ケスリーの孫娘、ケロウィンであり、上巻の終盤で傭兵になった彼女の逃走劇から始まる。そのときが、タルマの修行から5年程度のとき。下巻の最後は、この長編から15年以上経過している。実に激動のケロウィンではある。(詳細は割愛するが、いやはやすさまじい)

一人の女性の成長物語としても良いし、ファンタジーとしても飽きさせないストーリーが展開される。最後も極めつけのエンディングが待っている。普通の作者なら、こう落とすだろう・・・という推測を綺麗に裏切ってくれた。

さすが、ケスリーの孫娘。楽しませてくれました。これで、タルマ&ケスリーに続く<もとめ>にかかわる話は、一応終了らしいが、舞台であるヴェルデマールの話は続く。
posted by 灯台守 at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー

2012年06月12日

パーラ ラルフ・イーザウ

パーラ ラルフ・イーザウ あすなろ書房
上下二巻からなるファンタジー。上は〜沈黙の館〜 下は〜古城の秘密〜 と副題つき。主人公のパーラは、活発な女の子で言葉あそびが好きである。その遊び相手の詩人のおじいさんがしゃべれなくなったところから、話は始まる。いきなり言葉を失ってしまう伝染病が街を覆いつくす。しゃべれなくなるまでは行かなくても言葉数が少なくなり、人の会話も減る。その原因は何か? 疑問に感じたパーラは、その謎を解こうとするが・・・ 謎のソネット(十四行詩)。パーラの出生の秘密。なぞの実業家ジット。パーラは言葉を取り戻せるのか?

イーザウが、お手の物のする分野のファンタジー。ソネットになじみがないとのめりこむまで時間がかかるだろうし、最後の謎解きの感動が多少少ないかも知れない。でも楽しめることは楽しめる。

モモを彷彿とする主人公パーラや、変な生物も出てくる。性格設定もちゃんとされており、書き分けてあって楽しい。

読んでみるには良いファンタジー。「モモ」「はてしない物語」や「ネシャン」が好きならオススメ。
posted by 灯台守 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー