2012年03月24日

舟を編む 三浦しをん

舟を編む 三浦しをん 光文社
2011年の本屋大賞ノミネート本。三浦しをんは初めてだったが、「うまいな」と感じさせてくれた。キャラクターも良いし、プロットもしつこさもなく、さりげない出来事の積み重ねで構築されたストーリーも良い。ただ欲を言えば、「ああ、やっぱりそう落としたか」という結末にもう一ひねりあればよかったが、それは無いものねだりかとも思う。

主人公は、大手出版社の辞書編集部のひとり。まじめ氏。馬締とかいてまじめだが、文字通り真面目な性格を絵に描いたような人物。その馬締氏が「大渡海」という辞典を編纂する話。随所に辞書編集の苦労話がちりばめられ、本好きにはたまらないエピソードも満載で、三浦しをんはよい題材に目をつけたと思った。

「左右」や「愛」に関する事項は、勘所を捉え、編集者の言葉への誠実さや丹念さを伝えてくれる。辞書編纂の苦労話もあり、この一冊でも語りつくせないものがあるのだろうと思わせてくれる。分量的には、まだまだ語ってもおかしくないようなバックグラウンドを感じさせながらも、端的にまとめてくれた著者の意向を図りつつ心地よく閉じた本を置けるような物語だった。
posted by 灯台守 at 18:59| Comment(0) | TrackBack(0) |