2012年03月20日

龍宮 川上弘美

龍宮 川上弘美 文春文庫
奇妙な物語。川上弘美が書くと、純文学の範疇に入るけど、同じ話を新井素子が書いたら、SFなのかなぁ。有川浩さんが書くとヤングアダルト? まあ、どちらも同じ主題でも書き方はまったく違うだろうと想像に難くない。

非常に、違和感のある異界との接点が現実と交錯して溶け合っているお話の短編連作集である。たぶん、好きな人は好きだが、受け入れることの出来ない人は、出来ないのだろう。私は先祖に恋してしまう、異常に寿命の長くなる人々が登場する話が、なんとも言えず良かった。

川上弘美さんの凄さは、お隣の八百屋でさりげなく異界の住民が普通の生活をしているような世界を語ることである。「蛇を踏む」でも「神様」でもその雰囲気はある。「得体の知れない」というものを、書き下してくれる語り口がなんともいえず、ずるずるとはまり込んでいくのである。やはり、凄いとしか表現できないところが悔しい。かといって、私の表現力では、この想いは伝えられない。結局、万人に受け入れられるとも思えず、本を閉じるのである。
posted by 灯台守 at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) |