2012年01月23日

古書修復の愉しみ

古書修復の愉しみ アニー・トレメル・ウィルコックス 市川恵里・訳 白水社

欧米の、それも欧州での少し昔。本は個別の装丁を付して個人蔵書とするのが愛書家の習慣だったそうだ。文化といっても良い。標準的には、革装であり金箔なども使用される。そんな本を修復する専門家に入門した著者の回顧録である。内容は、当然のことながら製本の話、古書の修復の話で満載・・・かと思いきや、彼女が入門した著名な修復家のビル・アンソニーの仕事と彼との師匠・弟子の関係性の話の方が、メインで展開する。

いわゆる職人であるビルを尊敬し、彼の仕事を紹介する本著を読めば、彼女がいかに本を愛しているか、読むことのできる本を大切にしているか良くわかる。ビルは、オブジェと化した本をあまり好きではなかったことが書かれている。その精神は弟子である彼女にも受け継がれているのだろう。

もちろん、本書の中にあるさまざまな修復テクニックは、一般的にも役立つものが多数ある。「製本に使う道具は、他の目的に作られたものを使う。時には、自分で作る。」という記載には、目からうろこだった。

本を気軽に読むために自炊と称し、単行本を裁断する小生を彼らはどう感じるか、聞いてみたい。
posted by 灯台守 at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) |