2012年01月10日

墨攻 酒見 賢一

墨攻 酒見賢一 新潮文庫

「後宮小説」の酒見賢一の作品。マンガの原作でもあり、映画の原作にもなったそうだ。

墨家の軍師の指揮の下、2万の軍勢の猛攻に耐え切り、半年以上にわたり弱小城を守る話。

文庫一冊だが、長編というよりも中編と言ったほうが良い長さ。その中に、墨家の思想とその思想を支える一人の軍師の想いを語りきっているところが読みどころ。あっという間に読みきれる長さではあるが、内容は濃いものがある。場内の人々の士気を高め、長期にわたる篭城も想定された攻撃に対して着々と準備する様は、圧巻である。

最後の結末はあっけないが、それもまた史実として受け止めることが出来ることも、酒見賢一ならではかもしれない。中島敦記念賞を本作で受賞しているが、この賞は中島敦没後50年を記念して作られたもので継続していないとのこと。つまり、酒見賢一しか受賞していない賞である。これまた粋である。
posted by 灯台守 at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) |