2012年01月05日

自由軌道 ロイス・マクマスター・ビジョルド

自由軌道 ロイス・マクマスター・ビジョルド 創元SF文庫
ネビュラ賞受賞作だけあって、読者のページをめくる手を休ませてくれないSF。

遺伝子操作が発達し、人工子宮が完備された世界。植民地惑星で、人工衛星上のエリアで働く遺伝子操作によるミュータント達。彼らには足が無く、その代わりに手がある。四本の手の持ち主、クァディーと呼ばれる彼らは重力の無いところで働きやすいように作り出された。やっと彼らが組織として活躍する直前、人工重力装置が発明され、彼らの重要性は下落した。その結果、彼らを処分することになった。そのことを知った溶接技術者のレイは、彼らと共に反乱を起こすことを決意する・・・。

溶接教師として、クァディーたちを教える教師役のレイ・グラフが主人公。彼が、クァディーたちの処分=抹殺するという予測される会社の動きに対して義憤を感じ、反乱を起こす過程が大筋ではあるが、単調な話の中に、トラブルや軋轢が生じる中、レイは冷静かつ論理的に解決していく。その姿は、まさにヒーローである。でも40過ぎのオジサン的発言もあったり、自信喪失する場面も出てくる。なかなかリアル。
ミュータントであるクァディーたちの描写もなかなかすばらしい。彼らのユーモラスな部分や、相互援助している様子も描写されている。無重力状態での行動等は、科学的考証もされているようだ。

物語の中盤で、反乱を起こすことを決意してからは、流れるような展開でノンストップ・ストーリー。ページをめくる速度はあがるだろう。ストーリーテリングを堪能しつつ、未知の空間でを堪能できるSFである。

posted by 灯台守 at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) |