2011年10月07日

死者の身代金 エリス・ピーターズ

死者の身代金 〜修道士カドフェル シリーズ〜 エリス・ピーターズ・著 光文社・刊
シリーズ9作目。この作品もトリックはさして面白みのある本格的ミステリというわけではない。ごく一般的なものだが、もつれた運命の描写と、カドフェルの対応や、その時代を思わせる周辺人物群の描き方がすばらしい。

衝撃的なのは、いままで執行長官として、(いわば)警察署長のような役割を果たしてきたプレスコートが殺害されてしまうのである。一番疑われるのは、そのプレスコートと交換されるウェールズの若者。彼はプレスコートの娘に惚れ込み、プレスコートに娘との結婚受諾を迫ろうとしていた・・・。

犯人は、やや平凡だがそのあとの始末の方法が大胆。現代ミステリ小説では使えない大技。

懐かしい人も出てくるし、執行長官プレスコートの事件でもあるので、抑えておきたい話ではある。
posted by 灯台守 at 22:44| Comment(0) | ミステリ

2011年10月06日

ジョブズ逝去

Appleの創始者であり前CEOのジョブズ氏が今日亡くなりました。それほどMACファンでもAppleファンでもありませんが、世代の交代、時代の終焉を感じました。前回の膵臓ガンの時には、復活しましたが、今回はダメだったようです。ご冥福をお祈りします。

彼はスピーチの名手として知られていますが、そのうちでも最高のもののひとつ、スタンフォード大学での卒業式スピーチを紹介します。YouTubeで日本語翻訳つきです。

http://www.youtube.com/watch?v=87dqMx-_BBo

内容を聞けば解るとおり、一度余命数ヶ月の宣告を受け、人生を見つめなおした体験のスピーチです。亡くなった今だからこそ、さらに染み入る感慨があります。合掌。

補足:
pdfファイルは下記URLです。
http://marusensei.com/mensetsu/commencement.pdf
posted by 灯台守 at 21:46| Comment(0) | あれこれ

2011年10月05日

アブホーセン ガース・ニクス

アブホーセン ガース・ニクス 主婦の友社
すっかり書くのを忘れていたシリーズ。サブリエルとこのライラエル、アブホーセンの三部作。
古王国シリーズ、その3である。3部作の最後を飾るにふさわしいエンディング。

ネタバレになってしまうので、詳しくはかけないが、ライラエルの使命やモゲット/不評の犬の正体もわかる。最終的な敵を封じ込めるシーンは、ファンタジー作品ならではのクライマックス。このシーンを読むために、3部の長い前振りがあったといっても余りある名シーン。敵の問いかけに答えるモゲットの答えは、なんとも言えない名台詞。

やはりファンタジーに不可欠な世界観が良いし、キャラクターも人間臭くて生活感がある。王宮でのシーンや、魔法のないこちら側の世界での銃撃戦の描写もあって、息をつかせぬストーリーテリングも良い。

ああ、次にこのクラスのファンタジーにあえるのはいつなんだろう?と自問自答する自分だった。

よって★5つ。読んではまればめでたさ百倍。
posted by 灯台守 at 18:54| Comment(0) | ファンタジー

2011年10月04日

ライラエル ガース・ニクス

ライラエル ガース・ニクス 主婦の友社
すっかり書くのを忘れていたシリーズ。サブリエルとこのライラエル、アブホーセンの三部作。
古王国シリーズ、その2である。

ライラエルは、先見の能力をもつクレアの娘。しかし、何歳になっても先見の能力は発現せず、クレアとしては子供として扱われていた。とある出来事がきっかけで、彼女はクレア一族が誇る図書館員となる。そして数年後、未だに先見の能力は見出せず、彼女は魔術に引かれていく・・・

彼女の持つ役割や、不評の犬、サブリエルの息子・サメスなどのキャラクターは、さすがガース・ニクスである。女性は芯があり、独立心旺盛なところ、男性は若干軟弱っぽいところはあるが、やっぱり頑固である感じがする。でも作品ごとに少しづつ違うキャラクターが活躍する。

本作品は、前半の図書館の描写がすばらしい。もし存在するなら一度は潜り込みたい「クレアの図書館」。それと物語中盤に訪れる「アブホーセンの館」も欠かせない。

ライラエルとサメスの意外な正体や、モゲットと不評の犬のやり取りも面白く分厚い本もあっという間に読破するだろう。そして一気にアブホーセンへ進もう。
posted by 灯台守 at 18:04| Comment(0) | ファンタジー

2011年10月03日

サブリエル ガース・ニクス

サブリエル ガース・ニクス 主婦の友社
すっかり書くのを忘れていたシリーズ。その1
この数年、ファンタジーでTOP3に入る傑作。この本で、ガース・ニクスに出会う。ほんとに大きい出会い。

現在の科学世界のごく近傍にある古王国では、魔法が跋扈している。「壁」といわれるその中と外では、まったく違う季節と時間が流れる。「壁」からごく近くの寄宿制の女子学院にサブリエルはいた。父は古王国で、7つのベルを鳴らして死霊を操るネクロマンサーに対抗し、死の世界に霊を追い払い、生をつかさどる役目のアブホーセンだった。もうすぐ学園を卒業し古王国に帰る直前の夜、サブリエルは死霊の来襲をうける。しかし、その死霊は彼女に荷物を届けにきただけだった。その荷物とは、父親の7つのベルだった・・・。

抜群の世界構築。死霊の跋扈する世界は、薄ら寒いが、サブリエルの活躍はなんともパワフルである。アブホーセンに使える妙なネコ、モゲット。彫刻から生き返ったタッチストーンと奇怪なメンバーと旅をする。最終的には、大死霊を倒さねばならない。行方知れずのアブホーセンたる父は?大死霊との戦いは?生と死の狭間に戦いの幕は切って落とされていた。その世界観といい、魅力的なキャラクターといい、まったくといっていいほど止まらない話の展開といい、ファンタジーの王道をいく傑作。なんで映画化の話が出ないんだろうか、不思議でたまらない作品である。


posted by 灯台守 at 21:40| Comment(0) | ファンタジー

2011年10月02日

とねりこ屋のコラル 柏葉幸子

魔女モティ とねりこ屋のコラル (講談社 文学の扉) 柏葉 幸子、 佐竹 美保・絵
魔女モティの続編。魔女モティは非常にお気に入り状態で、楽しみなシリーズ。そろそろ3巻目がでないかなと期待しての待ち状態。

紀恵が、再びモティに呼ばれて再会する・・・はずが、モティが行方不明。どうも「とねりこ屋」を探しにいったらしい。とねりこ屋のコラルを見つけた紀恵は、ちょっとびっくり。コラルは竜だったし、「すてお父さん」は、モティの家族になったピエロのお父さん??だった・・・

今回は、モティがほとんど登場せず、その分がっかり度は高い。しかし、内容は読者によっていかようにも取れるだろう。それを難易度が高いとみるか、曖昧と見るかも含めて評価も振れ幅が大きいかもしれない。コラルの正体とか、行動をどう受け止めるかにかかっているが、その描き方は柏葉さんらしい。

このシリーズを読むと「家族」というものを再度考えさせされる。家族を持てといわれ、家族とは何かをいやおうなしに考えさせられるモティや紀恵の今後も気になる。そんなシリーズである。
posted by 灯台守 at 10:37| Comment(0) | 児童文学

2011年10月01日

魔女モティ 柏葉幸子

魔女モティ 柏葉幸子 佐竹美保・絵 講談社
小学校5年生の紀恵は、ある日異世界へワープしてしまう。そこで出会ったのは、魔女モティ。魔女である彼女は、卒業するために家族を持たなくてはならなかった。紀恵=キーは、子供としてスカウトされる。さて、モティは何をしなくてはならないのか? わがまま、頑固、横暴なモティとキーの行く末は??

柏葉さんから、直接この話が出来たきっかけのようなことを聞いたことがある。もうかなりの前になるが、白百合女子大学で実施されたパネルディスカッションのときだった。柏葉さんのお嬢さん(たぶん当時は小学生)が、ある日「私はプリンセス」といったので、「お父さんは?」と聞くと「ピエロ」という。「じゃあお母さんは?」と聞くと「魔女」と答えたそうだ。娘さんがプリンセスと答えたかどうか、このやり取りだったかどうかは記憶のかなたで覚えていない。たしか・・・と思って確認した。
http://www.lcv.ne.jp/~torikos/525.htm
上記URLに、ちゃんと記載されてますね。2002年だったのか。上記のHPはお知り合いの方が開設しているページです。こちらもよろしく。

柏葉さんのお話も良い。家族というものを再確認したくなる。佐竹さんの絵も非常に良い。リアルでいてファンタジックな挿絵を描ける稀有な方だと思う。

で、明日は本作の続編を掲載予定。
posted by 灯台守 at 19:27| Comment(0) | 児童文学