2011年09月27日

聖域の雀 エリス・ピーターズ

聖域の雀 〜修道士カドフェル シリーズ〜 エリス・ピーターズ・著 光文社・刊
シリーズ7作目。そろそろワンパターンになるかと思いきや、今までとは、ちょっと違う展開。相変わらずのブラザー・カドフェルではあるが、中世イギリスの人物像をうまく描いている。やっぱり中世イギリス版捕り物帳。

カドフェルの修道院に逃げ込んできた一人の旅芸人。彼は結婚式の余興を演じるように呼ばれたが、その呼ばれた主人をあやうく殺しかけたと追ってきた人々は言う。しかし、彼はそのことを否定するし、盗まれたというお宝も持っていない。誰が、主人を殺しかけたのか?カドフェルの観察が始まる。

今回は、厄災が起こった裕福な商家の人間構成がなかなかである。作者の描写もさえ、謎解きとあいまって最後に大捕り物もある。人間とはこういうものだという、作者の主張も見え隠れする。最後のヒューとカドフェルの会話もしみじみと深い。

「あなたはわたしに、神の手は人よりもずっと長いといいたいんじゃないかね?」「そう願いたい」カドフェルは、重々しく言った。「そうでなければ、救いがない」
posted by 灯台守 at 19:27| Comment(0) | ミステリ