2011年08月17日

さよなら、ベイビー 里見蘭

さよなら、ベイビー 里見蘭 新潮社
引きこもりの主人公。その父がある日突然、生後数ヶ月の乳飲み子を自宅につれてくる。父は嬉々として育児に専念するが、主人公の彼は、非常に不愉快であった。そして数日後、父親は突然亡くなる。その赤ん坊の親の情報を一言も話さぬまま・・・。
引きこもりの彼を中心に、複数の人物が入れ替わり立ち代り登場する話が短編小説のように挿入される。一見関係の無さそうな話が、徐々につながっていくが・・・

複数の話が、一本の話にまとまる小説はミステリでは珍しくない。そのことを意識してか、作者は何重にも仕掛けを施している。さすがに最終章に近づくにつれ一気に盛り上がる。

読者が得るのは、ミステリの持つ謎解きにとどまらない。広がりのある感動も呼び起こすラストである。あえてミステリカテゴリに入れない理由を確認してほしい。

posted by 灯台守 at 18:18| Comment(0) |