2011年05月08日

宮部みゆきとファンタジー

宮部みゆきという人は、どうもゲーム好きらしい。ブレイブストーリーでもICOでもドリームバスターも、どっかゲームの、それもRPGのにおいがする。さすがに宮部みゆきの手にかかれば、一定水準をはるかに超える作品の出来上がりである。ただ、現代ものの「理由」や「火車」、江戸物の「お初シリーズ」や「おそろし」等のものほど作品に入り込めない。あくまで私の感想までだけども。

やっぱり、宮部みゆきをしてもハイ・ファンタジーは難しいということだろう。先人の「指輪」や「ナルニア」などは著者の確固たる世界観が確立されていて、書かれていないバックグラウンドの量が圧倒的に違うのだと思う。それは宮部みゆきが世界観を書けていないということではない。食べ物とか風俗習慣、幾百年もの階級闘争とか飢えとの戦い、旱魃・洪水等の自然との闘いや共存というものが見えないからなのだろう。

私は江戸物もある種のファンタジーだと思っている。宮部みゆきは、すでに確立された世界の中というフィールドであれば、思う存分遊ばせてくれる人だ。江戸というファンタジー世界については熟練者である。だからこそ、ハイ・ファンタジーの場合には、彼女が(たぶん)前提にしているRPG的ゲームの世界観が微妙に私とズレているから入り込めないのではないかと思う。

今後、彼女が本気でオリジナルの世界を構築して欲しい気がする。それが実現すれば、それはファンタジー史に残る名作が生まれるかもしれない・・・と妄想するのであった。
posted by 灯台守 at 18:18| Comment(1) |

2011年05月07日

あんじゅう

あんじゅう 宮部みゆき・著 中央公論新社・刊

おそろしの続編である。昨年の夏ごろ出たばかりなので、残念ながら文庫・新書には落ちていないのが残念。あんじゅうは、たぶん暗獣だろう。闇獣かもしれない。やはり、「あんじゅう」が秀逸な一遍。この話に出てくる「くろすけ」が非常に良い。

宮部みゆきが描く江戸物はつい最近まであった懐かしい日本そのものかもしれない。まだまだ暗がりがあった時代。そこには人間の業というものが巣くっていた。なにもかも光の中に引きずり出すことが良いことだと勘違いしていた。物事には、表と裏、陰と陽、双方あって成り立つのだろう。やっと気がついた今日この頃。

宮部みゆきの描く妖怪は、どこか暖かで、なぜか寂しい。ハリウッドモンスターのように理由もよく解らず、暴れまわるではなく あふれる想いや哀しみを抱えて江戸の町の闇にたたずんでいる。
posted by 灯台守 at 20:15| Comment(1) |

2011年05月06日

おそろし

おそろし 宮部みよき・著 角川文庫他・刊

宮部さんのうまさは、「人物」を描き込むことである。それは「人物」が幽霊とか怪しいものでも変わらない。だからこそ、物語にリアルさの裏付けを付加する。

おそろしは、おちかが遭遇する怪談話から派生する奇譚である。この世とあの世の境界をさまよう想いがおちかをいざなう。5つの話は独立しているようで、ひとつの流れになっていく。

宮部さんんの江戸物でもあり、妖怪談でもあり、人情話でもあるという、安心して読める一冊である。
posted by 灯台守 at 23:30| Comment(0) |

2011年05月05日

小暮写眞館

小暮写眞館 宮部みゆき・著 講談社・刊

最近読んだ、宮部みゆき 特集 その1
さすがに厚い。余裕で800ページ? その分量も最終ページ近くになると寂しくなるのは、やはり宮部みゆき「ならでは」の感慨かも。キャラ良し。ストーリー良し。設定良し・・のエンターテイメント。
人の死なないミステリーというか、ちょっと不思議な話のいくつか。たぶんお気に入りのキャラが人それぞれ違うのだろうけど、私はテンコに引かれる。テンコとその家族にも。

目立たない話?と一癖あるキャラクターを積み重ねて、見事なお話を作る職人芸は健在である。心を縦糸に、想いを横糸に、時間の流れで染め抜いたドラマを今日も見せてくれるのだ。
posted by 灯台守 at 18:08| Comment(0) |

2011年05月03日

帰省っす。

GWの3日間、実家に帰省。ブログも明日は更新不可かも。
娘はバイトで帰れず。残念。
posted by 灯台守 at 08:39| Comment(0) | あれこれ

2011年05月02日

有頂天家族

有頂天家族 森見登美彦 幻冬舎文庫

幻冬舎文庫と書いたけど、本作品は私にとって初の「購入した電子書籍」である。今後、大量の電子書籍を購入すると思うけど、たぶんこれが最初の一冊。

しかし、電子書籍って「一冊」って数えるのかなぁ。ファイル数って、助数詞的に考えたことがない。

で、この本は「たぬき」の本である。能天気なたぬき一族のお話。
posted by 灯台守 at 07:36| Comment(0) |

2011年05月01日

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女  森見登美彦・著 角川書店刊

なかなか読もうと思っていて、読めなかった作品。ファンタジーという分野になるだろうが、森見さん独特の文体といおうか、リズム感といおうか摩訶不思議な世界が展開される。単純な話、「Boy meets Girl」なお話なんだが、なんともはや説明できないストーリー展開が楽しい。たぶん、好きな人は好き、受け入れることの出来ない人は出来ないんだろうな・・・と思う。

本作品、2006年の本屋大賞 2位でした。え、1位は何かって? ファンタジーな妄想作品をうちぶったのは佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」でした。お後がよろしいようで。
posted by 灯台守 at 23:27| Comment(0) |